現実世界とほとんど連動しない連続小説
進め!スライリー&マーくん


第57話 2005/7/31
「さてと・・・」黄色いハリーはみんなを振り向いて言いました。
「これからわしが新しい村長のところに行ってくるけん、わしだけ真っ黄黄になるけんそれで納得してつかぁさいと頼みに行ってくるよ。じゃけぇみんなもソフトバンク村にいのう」
ハーキュリー「それはええんやが・・・なんかおまえ言葉がおかしくなったと?それは広島弁となかとよ?」
黄色ハリー「普段はミヤジマにおるからわしは自然と広島弁を覚えたんじゃぁや」
ホンキー「まあ言葉はどうでもええ。ほなこれから新しい村長のところにみんなで行こう」

ハリー一族は新しい村長のところに行きました。
村長「やあ、ハリー一族の諸君、考え直してくれたかね?しょせん世の中はカネ。カネのあるところの言うことを聞くのが一番の得策だよ。で、黄色くなる決心はついたかね?」
黄色ハリー「村長さん、わしはカネカネっちゅう風潮は好きじゃぁなぁで。ほぃじゃが、かつてダイエー村を支持して応援してくれたひとらを裏切るこたぁでけん。じゃけぇわしだけこの通りに真っ黄っ黄になったんじゃ。他のみんなは今までのままで許してつかぁさい。」
村長「ほう!これは鮮やかな黄色になったね・・・分かったよ。リーダーである君がそこまで真っ黄っ黄になったのなら文句は言えまい。君の条件は飲ませてもらうよ」
ホンキー「本当ですか?ありがとうございます」
村長「私は前のダイエー村とは違って君たちにひもじい思いはさせない。世の中はカネ!カネを握ったものが勝者なのだ!貧乏人は社会の敗者なのだ」
ホンキー「ハリーよ・・・わしゃあこの村長にはついていけんよ」
黄色ハリー「叔父さん、思い出してつかぁさい。ダイエー村も昔の村長は『よりよい品をより安く』とかゆいもってカネを湯水んように使って流通界の覇権を握ろうとした人じゃ。別に今の村長さんと大差なかったよ。ウチはオオサカを出た時から、こういう運命になってしもぉたんじゃよ。」
ハニー「体は売っても心までは売らないわ!」
ホンキー「・・・過激な発言っちゃねえ・・・」
なにはともあれ、ハリー一族はソフトバンク村に戻りました。
  
 
第56話 2005/6/5
ハリー「みんな。元気だったと?」
ハーキュリー「ハリー・・・今頃になって戻ってきやがって・・・見んかい!ダイエー村はすっかり滅んでしまったとよ!」
ハリー「すまんとね。みんなには苦労をかけて・・・」
ホンキー「それにしても、お前はなんで金ピカになって宙に浮いとるとね?」
ハリー「はっはっは・・・・伯父さん、長年の修行の成果で空中浮揚と体の色を自在に変えることができるようになったとですよ」
ハーキュリー「・・・なんや、だんだんオ○ムなんたら教みたいに怪しくなってきたな・・・」
ハリー「あんな犯罪集団といっしょにせんとってくれよ。僕は長年の厳しい修行で本物の法力を身につけたっちゃね」
ハニー「ハリー、ここに来てくれたということは私たちと一緒にソフトバンク村で頑張ろうって呼びかけに来てくれたの?」
ハリー「うん、何でも新しいソフトバンク村の村長はみんなに黄色くなれって言ってきたそうじゃね。それを僕にまかせてもらおうと思ってね。僕一人がまっ黄っ黄になるから他のみんなは今まで通りにさせてくれって、あの村長に頼んでみるよ」
ヘレン「いいのかい?ハリー。あんただけがまっ黄っ黄になってしまって・・・・」
ハリー「伯母さん、さっき僕が金色に色を変えてたのをもう忘れたとね?色を変えちゃるくらい荒行に耐えた僕にとってはどうってことないちゃね。」
ハニー「それじゃ、私たちのところに戻って来てくれるの?」
ハリー「いや、僕にはまだパシフィック島とセントラル島を正しい平和な国にするためやらにゃならないことがある・・・。残念だけど、ここには僕の分身を残していくよ・・・」
ハリーはそう言うとなにやら怪しい呪文を唱え始めました。すると、まぶしい光があたり一面を覆ったかと思うと、そこには2人ハリーホークがいました。
ホンキー「おおっ!ハリーが2人おる!」
ハリー「こっちが僕の分身っちゃよ。今からこいつを黄色にするから・・・」
またまたハリーが怪しい呪文を唱えると、分身のハリーは鮮やかな黄色になりました。
ハリー「今日からこの分身がみんなと行動を共にするとよ。僕と同じ心を持ってるけど、分身は法力は使えないただのハリーホークたい。じゃあ、分身よ、あとのことはよろしく頼む。僕はいつもどこかでみんなのことを見守ってるっちゃよ・・・」
黄色いハリー「分かったんじゃ。あとのこたぁまかせておきんさい。」
一同「ああっ!ハリー!」
ハリーホークは一瞬のうちに姿を消してしまいました。
  
  
第55話 2005/5/22
マーくんはニシテツ村の廃墟跡に向かいました。そこは昔は賑やかだったんですが、地下から遺跡が出てきてすっかり寂れてしまいました。
「誰とね!ここには誰も入ったらいかんとよ!」
廃墟の中から大声がしました。
「誰かいてるね?ボクだよ。ロッテ村のマーだよ」
「なんや、マーか。こんなところまで何しに来たとね?」
ハーキュリーホークが姿を現しました。その奥にはハニーホークやホンキホークなど、ホーク一族が隠れ住んでいました。
マーくん「みんな無事だったんだね!よかった!心配してたんだよ」
ハニーホーク「マーくん、わざわざ訪ねてきてくれてありがとう。みんな元気だから心配しないで」
マーくん「なんで、こんなところに隠れてるの?ソフトバンク村に戻らないの?」
ハーキュリーホーク「ふん!お前のところは何も変わってないから分かるまい・・・お前に故郷が失われたヤツの気持ちが分かると?ソフトバンク村はすっかり変えられてしまったとよ。俺たちの誇りの村の公会堂は『ヤッホー会館』に名前を変えられてしもうたし、村中ベタベタ黄色くしやがる。挙げ句の果て、新しい村長は俺たちにまで黄色くなれと言いやがる・・・人をバカにするのもいい加減にしやがれ!俺は絶対にソフトバンク村なんかに行かへんとよ」
マーくん「気持ちは分かるよ・・・気持ちは分かるけど、キンテツ村のバフィーのことを考えてごらんよ。キンテツ村は村そのものが消滅して、バフィーはいるところを失って行方不明になってしまったよ。ネッピーも失意のうちにオリックス村で頑張ってるよ・・・それを思えば、村の名前が変わって村長が替わっても、同じところで頑張れるのは幸せじゃないか」
ハーキュリー「マーよ。お前の言ってることは正しいとよ。でもな、お前も体の色を変えろと言われたら素直に変えられるか?お前今は白いけど、青になれ、赤になれとか言われたらハイハイとゆうて聞けるか?」
マーくんは言葉に詰まってしまいました。
するとそこに、いきなり金色の色の光が差し込んできました。
「やあ、みなさんお久しぶりとです・・・」
一同「ああっ!ハリー!!」
そこにはハリーホークが、金色に輝きながら宙に浮いていました。
  
  
第54話 2005/3/12
マーくんはダイエー村に向かいましたが、昔はあちこちにあった「ダイエー村」という標識がすべて取り外されていました。やがて、「ソフトバンク村」と書かれたところにたどり着きました。
マーくん「確かここがダイエー村だったはず・・・ソフトバンク村って何だろ。それに街中がやたら黄色いし・・・」
住民「あんた、旅のお方とね?」
キョロキョロしていると、住民らしき人から呼び止められました。
マーくん「はい、ハリーホークを探してるんですがどこにいるか知らないですか?」
住民「ハリーホーク?だいぶ前におらんようになってしもうたとよ。ウワサではセントラル島で仙人みたいな暮らしをしとるそうなばい」
マーくん「え?そうだったんですか!それならハニーホークやハーキュリーホークは・・・?」
住民「さあ?そういえばしばらく姿を見んとばい。とにかく村の名前が変わってから住民はみんな不安でなあ。こないだいきなり頭の毛が薄いおっさんがやってきて『今日からここは”ソフトバンク村”になるから諸君達はそのつもりでいたまえ!』と言って去っていったばい。それからというものの村中黄色く塗られるわ、村の公会堂は・・・ほれ、あれを見てみるとね。”YAHOO!”と書かれて・・・『ヤッホー』・・・か?ヤッホー会館に名前を変えられてしまったばい。まあ、村ごと無くなったキンテツ村よりはるかマシじゃろうが・・・」
マーくん「ハニーホーク達がどこにいるか心当たりはないですか?」
住民「うーん、町のはずれに昔のニシテツ村の廃墟跡がある。そこなら隠れることができるかもしれんばい。」
マーくん「ありがとう!」
マーくんはニシテツ村の廃墟跡に向かいました。
  
  
    
第53話 2004/11/20
マーくんがオリックス村に行くと、住民達は皆やる気なさそうにブラブラ歩いていました。
マーくん「なんだこのアンニュイな街は・・・誰もがやる気をなくしてフラフラ歩いてるじゃないか・・・。」
住民A「もうオリックス村にいてもアカンで。俺は今度の地震でできたラクテン村に行こうと思うんやけど・・・」
住民B「あかんて。あの村長がワイらをそうやすやすと手放すわけがない。ワイらを一生安給料でこき使おうと思ってるからなあ・・・」
住民は聞こえるような大きな声で体制を批判していました。もうモチベーションとかモラルはすっかり失せてしまった雰囲気です。
マーくん「すっごいすさんでるなあ・・・こんなとこにいても仕方がないや。さっさと帰ろう。」
マーくんが帰ろうとすると、村の入り口で力無くしゃがみ込んでいるネッピーを見つけました。
マーくん「あれ?ネッピー君じゃん?久しぶり!」
ネッピー「やあ、マーくんか・・・」ネッピーは目を窪ませて憔悴しきってました。
マーくん「キミは無事だったんだね。バフィとファルルを知らないかい?」
ネッピー「知らへん。ホンマは僕もバフィと一緒にオリックス村を出て旅に出るつもりやったんや。そこを村長に無理矢理連れ戻されて・・・新オリックス村で雇ってやるからありがたく思えって・・・僕はもうバフィに会わせる顔があらへん・・・」
マーくん「でも、ネッピー君だけでも雇ってもらえて良かったじゃん」
ネッピー「よくもまあそんな薄情なことを言うなあ〜。バフィはどうなる?あいつは潔くオリックス村の村長に頭を下げるわけでもなく、自分からさっさと消えていったわ。それに比べて僕は・・・逃げ出したいけど、今となっては逃げる勇気もあらへん。路頭に迷ってホームレスにはなりとおないよ・・・」
マーくん「・・・・・・・」
ネッピー「パシフィック村は大変なことになっとる。ウワサではダイエー村が名前を変えるそうや。まあ、いずれセントラル島にも波及するやろうけどな・・・。僕もバフィには会いたい。もし途中でバフィに会うことがあればこの手紙をバフィに渡してほしいんや」
ネッピーはマーくんに手紙を託しました。
マーくん「分かったよ。もしバフィに会えたら確かにこの手紙は渡すよ。とりあえずダイエー村がどうなってるか見てくるよ」
ネッピー「うん、それがええやろ。後のことはよろしく頼む・・・」とネッピーは力無くさめざめとむせび泣きました。
これから先パシフィック島がどうなるのかを考えると、さすがのお気楽マーくんも心配になってくるのでした。


第52話 2004/11/6
一方、地震に襲われたパシフィック島ではどこの村でも大変な状況でした。金持ちなロッテ村でも例外ではありませんでしたが、少し余裕が出てきたのでマーくんは一番の被災地キンテツ村にボランティアに行くことにしました。
マーくん「こんなにパシフィック島がヒドイ目にあってるのにセントラル島からは救援にも来ない。薄情だなあ・・・」
ブツブツ言いながらキンテツ村に入ると、もうほとんど誰も残っていませんでした。
マーくん「あれ・・・どうして誰もいないの?」
キンテツ村住民「どうしたもこうしたも、カネがあらへんから村を再建できんと村長がとっとと逃げてしもたがな。オリックス村に二束三文で村の権利を売ってしもて、デキのええ住民だけをオリックス村がひきとるらしいで。わしゃあ引き取り手がないからおるんやけどな。デキのええヤツでもオリックス村なんか死んでも行けるかい!と逃げたヤツもおるらしいで。」
マーくん「バフィとファルルはどこに行ったの?」
キンテツ村住民「知らんがな。オリックス村の村長が引き受けてくれないことを聞いたら、そのままどこかへ消えてしまったで。かなりキンテツ村とオリックス村を恨んでたから、なにかおかしなことをせえへんかったらええが・・・」
マーくん「で、キンテツ村はどうなるの?」
住民「やる気さえあれば村は再建できたはずや。住民はやる気満々やったのに村長が逃げてしもたからなー。ウワサでは、同じように地震で村をボロボロにされても頑張ってる村長さんや村人がいてるところもあるって聞くけどな。キンテツ村には縁のない話や。」
マーくんはどうして良いか分からず、オロオロするのでした。
住民「にーちゃん。オロオロしてもしょうがない。キンテツ村はもうこの通りいまさらどうしようもないがな。オリックス村にでも行ってみたらどないや」
マーくんは言われたとおりにオリックス村に行くことにしました。


第51話 2004/11/6
スラィリー達がヒロシマ村に戻ると、街はザワザワしていて新聞の号外が飛び回っていました。スラィリーは号外を読むと、愕然となりました。
スラィリー「なんやて!パシフィック島のキンテツ村が地震で大被害!?オリックス村がキンテツ村を吸収合併?」
新聞屋「驚くんはまだ早い。もちぃと続きを読んでみんさい」
スラィリー「・・・地震でパシフィック島の海底火山が噴火し、一部が陸地になってラクテン村が誕生?キンテツ村の一部の官僚がラクテン村に逃亡してると・・・」
新聞屋「パシフィック島はずーっと地震に襲われてワヤなことになっとるのぉ。ダイエー村もついに財政破綻を起こしたらしいよ。新陸地にゃぁなんか芸能人の女を連れて『世の中カネがあれば何でもできるんじゃ!』と公言しとったヤツが街を作ろうとしたらしいが、他のパシフィック島の村長連中が猛反対したらしぃんじゃ。」
スラィリー「ホッシーさん。どうもセントラル島もパシフィック島もおかしなことになっとるみたいじゃ。あんたもはよぉヨコハマ村へ帰って不測の事態に備えたほうがええ。はよぉ新幹線でいにんさい。新幹線代は貸してあげるから」
ホッシー「その方が良いみたいだ・・・ウチもどうも不正取引で大騒ぎみたいだし・・・」
スラィリー「トラッキーのところも不正取引でえらいことになっとるみたいじゃ。これはどうもただ事ではない。とんでもないことがおきにゃええが・・・」
スラィリーはこれから起こるであろう大激変に身震いがいしたのでした。



第50話 2004/3/28
ハリー「いやいや・・・ずいぶんみっともないところをお見せしました。どうか忘れてください」
スラィリー「いや・・・しかし、あんたはそれでええんかね?2人の言うとるようにダイエー村はいつ無くなってもおかしくないけん、戻るんなら今のウチじゃけぇ」
ハリー「拙僧はこの乱れた世の中を何とかしたいと思って修行に励んでいます。ダイエー村だけじゃなく、セントラル島、パシフィック島ともに救いたいと思っています。ダイエー村は仲間達がきっと何とかしてくれるでしょう。」
ホッシー「・・・私たちが間違っていました。貧しくても清く正しく生きています。オイオイオイ〜(号泣)」
スラィリー「分かってもらえてわしも嬉しいよ。ヒロシマ村はずっと昔から貧しゅうともなんとかやってっとるけぇのぉ。ところでお上人、前に預けたジャビットはどこに?」
ハリー「おお!ジャビットねえ。いやいや、彼もすっかり今は改心して過去の行いを悔い改めていますよ。今ヨミウリ市を牛耳っている555の暗黒のジャビットと対決すべく、山伏の法力をつけるためにはるか出羽の山で山ごもりをしています。」
スラィリー「へえ!山ごもり!大丈夫かね?あんなひ弱なヤツが」
ハリー「ふふふ・・・きっと今の彼を見たら驚きますよ。自分の力でこの世の中を変えてみせると意気込んでいます。拙僧の愛のムチが効いたようです。期待してもらっていいと思いますよ」
スラィリー「なるほどねえ、じゃあ、どんな風に生まれ変わったのか成果を楽しみにしとるけん。ほんじゃ、ワシらはこれでおいとまするけん」
ハリー「はいはい・・・。ホッシーさんも自暴自棄にならず、誇り高く生きてください」
ホッシー「ありがとうございます。私は、夢の続きを宝物にして、胸にしまいこんで、明日からまた生きていきます。」
スラィリー「・・・・どこかで聞いたことあるあいさつやな」
スラィリーとホッシー一家はミヤジマを後にしました。


第49話 2004/1/12
「やめて!小父さん!」若い女性の声が響きました。
ホンキーホーク「おお!お前はハニーホーク!」
やってきたのはハニーホークでした。
ホンキーホーク「そうか!お前もハリーを連れ戻しにきたんちゃね」
ハニーホーク「違うわ!私は小父さんを連れ戻しに来たの。さあ、ハリーの邪魔をせずに帰りましょう!」
ホンキー「なに言うとるとね!じゃあ、お前はハリーが戻らんでもええっちゅうのか?」
ハニー「ハリーはダイエー村を出る時、決死の覚悟で家出をして出家したはずよ。そして今はなんでもお金のこの腐りきった世の中を変えようと一生懸命がんばってるのよ!いまここでハリーの修行の邪魔をしたら、ハリーも私たちも一生後悔するわよ!」
ホンキー「それでも、ダイエー村は・・・ダイエー村はどうなる!このままじゃあの破産管財人が無茶苦茶にしてしまうぞ!それにお前や3兄弟があいつにどれだけひどい目に遭わされてるか・・・」
ハニー「私は大丈夫よ。ハック、リック、ホックも私や小父さん達で守ってあげられるわ。破産管財人はハーキュリーにいつかボコボコにしてもらいましょ」
ホンキー「・・・ハニー、お前はそれでええんかね?」
ハニー「ダイエー村にいてる時より、今のハリーの方がよっぽど輝いてるわ。昔は『パシフィック島の鼻つまみ者』って言われてなんでもお金で片づけてジャビットみたいなところがあったけど、すっかりそんな醜さは無くなって生き生きとしてる。ダイエー村はもうハリーの帰るところじゃないんだわ」
ホンキー「・・・・・・・・・」
ハニー「ハリー、ごめんなさいね修行の邪魔をして。じゃあ、帰るわね・・・。」
ハリーホーク「ハニー!・・・・・いや、その・・・・なんというか・・・・元気で・・・・」
ハニー「うん、ハリーも元気で。いつか山を下りて立派な伝道者になってダイエー村に帰ってきてね・・・」
ハニーホークとホンキーホークは泣きながら山を下りていきました。
一方、ハリーホークはそれ以上何も言うことができず、ただ呆然と黙って立ちすくんでいました。
傍らで見ていたスラィリーとホッシー一家は、ただただ感泣にむせび泣くのでした。


第48話 2003/12/14
ホンキーホーク「ずいぶん探したとよ・・・ハリーよ」
ハリーホーク「ホンキーの叔父さん・・・どうしてここがわかったっちゃね。」
ホンキー「パシフィック島をすみずみまで探したのにおらんかったから、セントラル島に渡ってみたら、パシフィック島から尊い修行僧が来たっと聞いたもんやきに、来てみたらやっぱりお前やったとか・・・」
ハリー「・・・・みんなは元気かね」
ホンキー「なんを言うとるたい!お前がおらんようになってからちゅうもんの、ハーキュリーもハニーもヘレンもみんなやつれ果てとるたい!」
ハリー「そうか・・・噂には聞いとったけど・・・・」
ホンキー「ダイエー村に乗り込んできた破産管財人がもうメチャメチャにしてしもうて、せっかく今年はセントラル島、パシフィック島のプレゼン大賞を取ったというのに、その売り上げを全部持って行かれて・・・おまけに今年は家宝がタダでよりによってヨミウリ市に流れてしもうたよ。先代の村長さんがせっかく蓄えた財産がどんどん売り飛ばされて・・・・もうわしゃ、どうしたらええのか分からんたいよ・・・」
ホンキーホークは人目もはばからず号泣しました。
ハリー「お、叔父さん・・・大丈夫たいよ。もしも大おじさまの会社が倒産しても、村が滅ぶことはなかとよ。ホーク一族の精神は不滅たい!」
ホンキー「お前はダイエー村に今はおらんからそんな呑気なことを言う・・・!頼む。ダイエー村に帰って来てくれ!お前がおらんとダイエー村は滅んでしまう!」
ハリー「俺はもう出家した身たい。出家して皆に教えを説いて、今の世の矛盾を説いて回って、なんでもカネカネの世の中腐った風潮を変えていきたいと思っちょる。俺の伝導は必ずやダイエー村の危機も救うはずっちゃね。どうかダイエー村のことだけじゃなく、パシフィック島、セントラル島すべての未来のことを考えて俺を応援してくれんかね?」
ホンキー「・・・パシフィック島、、セントラル島のことなんかどうでもええっちゃ!お前はハニーやハック、リック、ホックの女子供連中があの極悪破産管財人にいじめられてもなんとも思わんのか!ましてや、あの破産管財人はハニーを無理矢理てごめにして愛人にしようとしとるっちゃよ!」
ハリー「・・・・・!!」
さすがにこれにはハリーも絶句しました。

いきなり始まったハードな展開に、そばで見ているスラィリーもホッシー一家もただただ呆然とするだけでした。


第47話 2003/11/10
 スラィリーはホッシー一家をミヤジマまで連れて行き、山の上まで登りました。
ホッシー「ううう・・・空きっ腹に登山はキツイよ・・・・一体どこへ連れて行こうって言うんだい?」
スラィリー「おお!見えてきたわ。ほれ、あの庵を見てみんさい。」
ホッシー「なんだ?あの崩れそうな家は・・・?」
スラィリー「おおい!お上人様〜」
上人「おお、スラィリー殿、久しぶりでございますな。。・・・・おお!これはこれはホッシー殿まで!」
奥から、とてもみすぼらしいカッコをした僧が現れました。
ホッシー「・・・・・あんた誰?」
上人「はっはっは・・・分からないのも無理もない。私はかつてはハリーホークと呼ばれた者ですじゃ」
ホッシー一家「ええ〜〜〜っ!」
ホッシー一家は腰を抜かしてしまいました。
ホッシー「あ、あんたホントにハリーホーク?ダイエー村は今年のプレゼン大賞を取ってセントラル島とパシフィック島の覇権を握ったというのに・・・なんでそんなみすぼらしい姿に?」
ハリーホーク「はっはっは・・・貴方はダイエー村が覇権を握りながらも破産寸前なのを知っておられるでしょう。ダイエー村の命運はもはや尽きました。世の中は栄枯盛衰諸行無常。おごれる者もひさしからずと申します。私はこれまでのおごり高ぶった行いを悔い改め、厳しい仏門修行の道を選びました」
ホッシー「・・・・・」
ホッシーは開いた口がふさがりませんでした。
スラィリー「見てみんさい!かつて傲慢不遜で『パシフィック島の鼻つまみ者』とゆわれたハリーホークですら、世の中に嫌気がさしてから、こんように貧しゅうとも誇り高き生き方をしておられる。それに比べてあんた達はちぃと貧乏になったけぇゆって、なりふりかまわんと乞食同然に物乞いをしとる。もちぃと誇りを持って生きんといけん。」
ホッシー「・・・・・」
ホッシーは、ハンシン村のトラッキーの達観した生き方も思い出して、自分が恥ずかしくなりました。
ホッシー「いや、スラィリーさん、ハリーホークさん。私が間違ってました。2年間の貧乏生活ですっかり誇りを無くしてしまったようだ。やはりちょっと前の栄華を忘れられず、自分に奢りがあったようです」
ハリーホーク「おお、わかっていただきましたか!それがよい。ヨコハマ村はダイエー村と違ってまだまだ未来がある。自暴自棄になってはいけませぬ。」
ハリーが説法をしている間に、1人の老人が訪ねてきました。
老人「おお!ハリー久しぶりたいのー!」
ハリー「ああっ!誰かと思えば叔父さん!」
訪ねてきたのはハリーホークの叔父さんのホンキーホークでした。


第46話 2003/9/14
 ホッシー一家はいくらかのおカネを融通してもらって、ハンシン村を後にしました。
ホッシーナ「お父さん!これじゃ私たち完全にルンペン芸人そのものじゃない!」
ホッシー「仕方ないだろ。今はプライドより今をどう生きていくかが大切だ」
ホッシーゾ「どうするの?ヨコハマ村に帰るの?」
ホッシー「いや、今ヨコハマ村に帰っても借金取りが押しかけてるだけだ。ついでだからヒロシマ村のスラィリーのところにも行って何か恵んでもらおう」
相変わらずホッシー一家は道中で歌って踊って、わずかな見物料をかき集めてなんとかヒロシマ村にたどり着きました。
ホッシーゾ「ここがヒロシマ村かー。ずいぶん寂れてるねえ」
ホッシー「そうだなあ。ここ数年ずっと景気が低迷してるからなあー。」
スラィリー「ややっ!そこにいるのはホッシーさん一家じゃないかいな?」
ホッシー「おおっ!スラィリーさん。探してたんだ。久しぶりだね〜。でも、何をやってるんだい?」
スラィリー「いやいや、ウチも景気が悪くて苦しいんよ。だからなりふり構わず行商で、もみじまんじゅうとか新鮮な取れたて牡蠣とか売ってるワケね」
ホッシーナ「ほらお父さん!お父さんには今までスラィリーさんみたいなガムシャラさが無かったのよ。ちょっとオシャレなヨコハマ村にいるからって大名商売してたから、ルンペンにまで身を落としてしまったんだわ!」
ホッシー「そんなことはないだろう!だからお父さんは今年からダイエットして顔を小さくして、お前達とダンスを踊れるくらいにまでスリムになったんじゃないか!」
スラィリー「・・・・いや、親子ゲンカはそれくらいにして・・・わざわざヒロシマ村までいったい何か用かね?」
ホッシー「まあ、ぶちあけた話、あなたも知ってるようにヨコハマ村は北朝鮮の農村もビックリの極貧にあえいでいるんですよ・・・そんで、ヨコハマ村にこのままいては飢え死にするので、こうして歌って踊ってわずかな諸国行脚しているというワケで・・・」
スラィリー「なんとまあ・・・ほんの5年前にセントラル島の頂点を極めた方の暮らしとは思えない落ちぶれかた。わしゃあ同情の念を禁じ得ないよ」
ホッシーナ「同情するならカネをくれ!」
ホッシー「こらこら!なんて事を言うんだ!『同情するならカネをください』だろ!」
スラィリー「・・・・どっちでもやらんよ。それじゃあんたらただの物乞いの乞食じゃないかね?」
ホッシーゾ「ルンペンでも何でもいいよ!何か食べ物をおくれよ〜」
スラィリー「やれやれ・・・すっかりプライドをなくしてしもうて乞食になりさがっとる。しゃあない、ワシについてきんさい」
スラィリーはホッシー一家を連れて、港から船に乗せました。



第45話 2003/6/17
 金の茶室にホッシー一家を案内したトラッキーは、金の茶碗に抹茶をたてはじめました。
ホッシー「あのなトラッキー・・・いくらなんでもそんな金の茶碗ってのは・・・茶道というのは、もっとワビサビというものを大事にするんじゃなかったのかい?」
トラッキー「それはホッシー、間違っとるで。茶道は心をうつしだすもの、今のわいの心はこの通り、まさに金ピカそのまんまや」
ホッシー「・・・・まあ、それならそれで良いけどねえ。ところで頼みというのはほかでもないのだが・・・・」
トラッキー「わかってるよ。カネを融通してくれと言うんやろ。水くさいやないか!ともにヨミウリ市のジャビットを倒すことを志している同志やないか」
ホッシー「でも、最近は君が調子良すぎるから、みんなでトラッキー包囲網を作りつつある。君もいつ寝首をかかれるかわからないから注意した方がいいよ」
トラッキー「はっはっは・・・そりゃ光栄やなあ〜。こないだまでさんざんコケにされ続けてきたからなあ〜。いっぺんくらいは包囲されてもバチはあたらんやろ・・・・・まあ、わいは落ちぶれるときはすぐに落ちぶれるねん。だったら、カネがあるうちにせいぜい贅沢して浮かれようかと思ってなあ〜」
ホッシー「それにしても・・・短期間でよくこれだけの金ピカの城を作ったなあ!」
トラッキー「はっはっは!足らずの分は萬田銀次郎から借りたんや。」
ホッシー「萬田って・・・あの『ミナミの帝王』って言われてるやつかい!あんな闇金融から借りて大丈夫か!」
トラッキー「かまへんかまへん。もし返せんようになったら、この金ピカ城さえ手放せば大丈夫なようにしてある。命までは取られへんよ。落ちぶれたら、また元の貧乏長屋に戻ればええねん」
ホッシーは、トラッキーのあまりにも達観した考え方に深く感銘を受けたのでした。


第44話 2003/6/13
 近づいていくと、金色のお城のてっぺんに見覚えのあるハンシン村章の旗が上がってました。
ホッシー「おお!これだ。トラッキーの家に違いない・・・。たのもー!」
守衛「誰や!ルンペン芸人に用はない!さっさと帰れ!」
ホッシー「ル、ルンペン芸人とは失礼な・・・私はヨコハマ村のホッシーだ。トラッキーに取り次いでもらいたい。」
守衛「なにぃ!?お前らのような横山ホットブラザーズのなりそこないみたいな乞食芸人どもがウチのトラッキー様と知り合いのはずあらへんやないか!さっさと帰らんとこないだのナガラガワ会戦のようにマスタードガス攻撃を浴びせるで!」
城の入り口で小競り合いをしていると、城の中から金色の羽織を着たトラッキーがブランデーグラス片手に出てきました。
トラッキー「なんや、おもてがザワザワ騒がしいやないか・・・おお!誰かと思うたらホッシーやないか!・・・・こら!守衛ども!カネもないのにわざわざ遠路ヨコハマ村から来てくれた客人になんちゅう無礼なことを!」
ホッシー「・・・・そりゃ、確かにカネはないけどな・・・。実はそのことで君に相談に来たんだよ」
トラッキー「おお、そうか。ほんじゃ立ち話もなんやから、城の中へ案内しよか」
ホッシー「・・・・しかし、なんだよこの金ピカの城は!2年前までは貧乏長屋で寝込んでいたくせに。」
トラッキー「はっはっは!そんな時代もあったなあ〜。でも、ハンシン村は今バブルの真っ最中だからな!太閤秀吉様にならって金ピカ文化を極めようと思ったんや。ま、贅沢できるうちに贅沢しとかんと、いつまた落ちぶれるかわからんしなあー」
トラッキーはホッシー一家を金の茶室に案内しました。


第43話 2003/6/8
 ホッシー一家は旅芸人に身をやつし街々で「熱き星達よ」を歌って踊って回ってますが、反応は鈍くあまり人も集まってきません。それでも、ホッシー一家を哀れんでどの街でもいくばくかのお金はくれるので、木賃宿に泊まりながらホッシー一家は細々と旅を続けました。
ホッシーナ「お父さん!これじゃ私たちルンペンそのものじゃない!ほんの少し前にセントラル島もパシフィック島も天下を取った私たちがこんな有様ってひどすぎない!」
ホッシー「いや、ホッシーナ。これが現実なのだ。おごれるものも久しからず。栄枯盛衰は世の常なのだよ。」
ホッシーナ「私もう3日もシャワーを浴びてないのよ!シャワーくらいは浴びられる宿に泊まりたいわ!」
ホッシー「明日になればハンシン村にたどり着く。明日までは辛抱しなさい」
その晩も、ホッシー一家はノミがわいているような薄っぺらい布団で夜を明かしたのでした。

 さて、次の日ほうほうのていでハンシン村に近づくと、なにか変なものがいっぱい飛んできました。
ホッシーゾ「お父さん。あの色とりどりの変なものはいったい何?」
ホッシー「ふむ、ヨコハマ村ではだいぶ前に違法になったんでお前は知らないかな?あれは売り上げが良かったときにいっせいに飛ばす風船だよ。」
ホッシーゾ「なんでヨコハマ村ではダメなの?」
ホッシー「まあ、ゴミになるだけだからなあ・・・でも、ハンシン村のはある意味芸術になってしまっとるからなあ〜。しかし、こんな遠くまで飛んでくるとは・・・以前はあんまり飛ばなかったのだが
ホッシーナ「お父さん!何か金の御殿が見えるわ!」
ホッシーナが指さす先には、金色のお城みたいなものが見えてきました。



第42話 2003/6/1
 一方、ヨミウリ市やハンシン村の繁栄をよそに、ヨコハマ村は多額の負債を抱え極貧にあえいでいました。
ホッシーゾ「お父さん、ひもじいよう〜何か食べるものはないの?」
ホッシー「ガマンしない・・・今ヨコハマ村は救いようがないくらい貧乏なんだ。なんでこんなに貧乏になったのかねえ・・・あのハゲ頭の村長さんならちょっとはやりよると思ってたけど・・・」
ホッシーナ「もう私たちがいくら歌って踊ってもお客さんは来ないわよ。ヨコハマ村は漁師の大おじさまが2年前に夜逃げをして、その代わりにテレビ局の大おじさまが来たから少しは生活も良くなるかな・・・って思ってたけど、何も変わっちゃいないわ。前よりもひもじくなったんじゃない?」
ホッシーゾ「お父さん、米びつが空っぽだよ。今晩食べるものもないよ・・・」
ホッシー「うう・・・このままヨコハマ村にいても飢え死にするだけだ。仕方ない、旅芸人になって諸国を行脚しよう。ジャビットに頭を下げるなんてとんでもないが、バブル景気の真っ最中のトラッキーならなんとかしてくれるだろう」
ホッシー一家は三味線とギターとアコーディオンを持って、家々の軒先を回って歩く旅芸人となってヨコハマ村を後にしたのでした。  


第41話 2003/4/12
 一方、はるか離れたヨミウリ市では、一番の成績だった営業社員がメジャー大陸に転職してちょっとした騒ぎになっています。そんな世相のせいか、ジャビットがいなくなったことはほとんど街中でもニュースになっていません。
 「ふふ・・。自分が思っているほどヨミウリ市はあなたを必要としていなかったのよ。ホントにおばかさん」
 シスタージャビットはブランデーを片手に妖しく微笑みました。
 「そうだわ、久しぶりにあの人に会ってきましょう・・・」
 シスタージャビットは、誰も立ち入らない地下3階へと向かいました。地下3階は汚い地下倉庫が並んでますが、その中の「555」の地下倉庫で、なんやら怪しげなキーボタンを押すと、ドアが自動的に開きました。
 「久しぶり。ア・タ・シよ・・・」
 するとそこには地下とは思えない超バブリーな部屋があり、1匹のウサギが虎の皮のソファーに深々と座り、書類を読んでいました。
 そのウサギこそ、ヨミウリ市の陰の支配者、「暗黒のウサギ」こと555のジャビットでした。
 555ジャビット「なんだ・・・シスターじゃないか。久しぶりだな・・・今報告書を読んでいたところだ。あのパープリンの333のジャビットはヒロシマ村に捕らわれているそうだな」
 シスター「そうなの・・・あの人はホントにおばかさんよね。自分を何様だと思っているのかしら?自分がただの飾りだということに最後まで気がつかなかったわ」
 555ジャビット「だいたいこのヨミウリ市で「3」のつく人間は救いようのないバカが多いのだよ」
 シスター「そういえば、あのエトウブタもタマ川の養豚場に持っていったらしいわね。もったいない。太らせて食べたら鹿児島の黒豚なみにおいしかったわよ・・・」
 555ジャビット「ふん、ヨミウリ市で豚を飼うなど衛生上よろしくない。ヒロシマ村に返してやっても良いが今さらヒロシマ村も受けとらんだろう。タマ川の養豚場で好きなだけ交尾しておくがいいさ」
 シスター「それよりどうするの?333のジャビットを?あいつはヨミウリ市の秘密を多少なりとも知っているわ・・・。消しておくなら今のうちよ」
 555ジャビット「ふん、あいつの知っていることなんかつまらんことだ。選挙の時に『ヨミウリ市は永遠に不滅です』と言うくらいしか能のないヤツだ。放っておけ。」
 シスター「まあ、『暗黒のウサギ』と呼ばれるあなたにしては優しいのね?」
 555ジャビット「あいつはヨミウリ市を離れたらただの大ボケ野郎だ。そのうちのたれ死ぬさ。あんなヤツのことよりも、最近ヨミウリ市全体が沈滞化している。その活性化対策を考える方が先だ・・・。ハンシン村が最近景気が良いようだが、どうせそのうちバブルがはじける。その時は我がヨミウリ市が頂点を極めなければならないのだ・・・」
 シスター「ふふ・・・そんな風に考え込む貴方ってステキ・・・」
 555ジャビット「ヨミウリ市が頂点に立つためなら何でもするぞ・・・どんな汚い手段でも、人殺しでも・・・」
 555ジャビットは白い巨塔の財前教授のようにつぶやくのでした(古い?)  



第40話 2002/12/7
 ジャビットがハリーホークのもとで修行を始めて1週間がたちましたが、ジャビットは改心するそぶりも見せません。
 ハリーホーク「ジャビットよ、そなたは1週間たってもまるで改心をする気配が見えない。一体何をそうそなたをガンコにさせるのか」
 ジャビット「あのなあ・・・俺は仮にもあの天下のヨミウリ市のジャビットだよ。何で俺がこんな荒れ寺で修行をしないといけないんだよ!あんたも前はあのダイエー村で栄華を極めた人だ・・・なんで好んでこんな荒れ寺に住んでいるのか俺にはわかんねーよ!」
 ハリーホーク「じゃあかあしい!!人が下手に出てりゃのぼせよってよぉ・・・やい!ウサギの分際で分かったような口を聞くんじゃなかとよ!」
 ハリーホークはついにキレてしまいました。
 ハリーホーク「おまんは知っとるのか!パシフィック島が今どこも貧困にあえいでいるのを・・・・とくにおまんのヨミウリ市が率先してウチらの財産を片っ端から買いあさっとるっちゃよ!そりゃまあ、おまんところにはカネはあふれとるんやろが、他のヤツらのことは何も考ちょらん。すべては自分さえよければいいという自己チューな考えじゃなかとか!そんなおまんに何を偉そうに言う資格があるっちゅうんや!!ああん!?」
 ジャビットは、ハリーホークの迫力にタジタジになってしまいました。
 ジャビット「い、いや、しかしダイエー村だって前はそうだったじゃないか・・・」
 ハリーホーク「そうたい!前は確かにそうだったとよ。ヨミウリ市に追いつき追い越せってね。ウチらもたいがい悪どいことをやってきたとよ。しかし、いまやダイエー村はその無理がたたって見る影もないたい・・・。所詮は万物は栄枯盛衰。ヨミウリ市の栄華もいつ終わるか分からない・・・栄華を極めた者の末路はそりゃあもう哀れなもんたい。世の中は無常。何事も、今の自分が満たされているという、足るを知ることが重要たい・・・
 やい!ウサギ野郎!おまんがどうしても分からんというんなら無理にでも分からせてやるっちゃよ。こっちに来るばってん!」
 ジャビットは寺の奥の秘密の部屋に連れて行かれました。
 ハリーホーク「さあ!これからおまんで荒修行で身も心も鍛えるたい!カラダで覚えさせてやるっちゃよ!」
 言うやいなや、ジャビットは縛り上げられ、逆さに吊されてしまいました。
 ジャビット「ちょ、ちょっと待て・・・そのムチとロウソクは何だよ!なんで仮面をかぶってハイヒール履いてるんだよ!・・・どこが修行だ!ひぇぇえええ!た、助けてくれ〜」 
 夜のミヤジマにムチの音がぴしぴし響くのでした。



第39話 2002/11/29
 スラィリー「あれが世に名高いミヤジマじゃ。ま、ヒロシマ村の氏神やのぉ。あんたみたいに欲望と暗躍にまみれた世界に生きてきたヤツはたぶん初めてじゃろ」
 ジャビット「あたりまえだ!誰がこんな田舎に好き好んで来るかよ!」
 スラィリー「まあ、そう憎まれ口を叩かんと、とりあえず山に登ってみんさい。」
 ジャビットとスライリーがロープウェイに乗って山に登り、ケモノ道をかき分けて行くと、そこには荒れた庵が建ってました。
 ジャビット「なんだよこれ・・・・!人住んでるんけ?辛気くせえよ!
 スラィリー「ええっと・・・お上人、いてなさるか?わしじゃ。スラィリーですじゃ。
 修行僧「おお・・・スラィリー殿。久しぶりでございますな」
 庵の奥から、やせこけた修行僧が出てきました。
 ジャビット「あんた誰?」
 スラィリー「なんじゃ、忘れたんか?ダイエー村のハリーホークやないか」
 ジャビット「ええーーーっ!」
 ジャビットは腰をぬかさんばかりに驚きました。
 ジャビット「いや、ハリーホークと言えば・・・パシフィック島で一番羽振りが良かったじゃんか!それがなんで修行僧なんかに・・」
 ハリーホーク「いやいや、拙僧はダイエー村のゴタゴタを見てつくづく世の中が無常に思うようになりました。世の中のしがらみから逃れるため、拙僧は発心して頭を丸め琵琶法師として諸行無常の修行の旅に出かけたのですが、行き倒れているところをスラィリー殿にお救い頂きました。それ以来、拙僧は当山に籠もり、パシフィック島とセントラル島の平和と共存共栄を祈るために、日々念仏三昧に暮らす毎日でございます。」
 ジャビット「・・・・・坊主になると、博多弁も忘れるのかい?あんたは?」 
 ハリーホーク「いやいや、ここで修行三昧の毎日を送ると、世俗のことはすっかり忘れてしまいます。おかげさまで、私もすっかり悟りを開き解脱いたしました。今やヒロシマ村では「お上人様」と呼ばれるまでの徳を得ることが出来ました。悟りを開き無の境地を会得した拙僧は、今や空中浮揚も出来るようになりました。」
 ジャビット「そりゃ、あんた鳥なんだから空中浮揚くらいできるだろ?」
 ハリーホーク「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
 ジャビット「で?俺にどうしろと言うんだい?」
 スラィリー「なんじゃ、まだ分からんのか?あんたはハリー上人の弟子になってここで修行するんじゃ。お上人様、こいつに荒行苦行を課して、これまでの悪事の数々を悔い改めさせてもらいたい」
 ハリーホーク「さようでございますか。分かりました。念仏を唱えれば、どんな悪事でも御仏はお許し下さいます。私もかつては悪事の数々を行いましたが悟りを開きました。ジャビットとて念仏を唱え御仏にすがれば必ずや極楽往生できるでしょう。」
 ジャビット「ちょ、ちょっと待て!こんな所に閉じこめられるのか?冗談じゃない!」
 ハリーホーク「だまらっしゃい!余計な雑念は修行のじゃま!直ちに修行に入ります。まずはそのむさ苦しいヒゲを落とし髪を剃りましょう!こっちにお越しなされ!」
 ジャビット「ひええええっ!あ、あんたやせ細ってるのにどこにそんな力が・・・た、助けてくれー!」
 スラィリー「ほんじゃ、手こずるとは思うけどよろしくお頼み申します。」
 ハリーホーク「はいはい、確かに」
 そう言いながら、ハリー上人はジャビットの首根っこを押さえたまま髪の毛やヒゲを剃り始めました。


第38話 2002/11/26
 ジャビットを護送したドナドナ馬車は、ヒロシマ村に近づいてきました。新幹線なら5時間かからないのに、荷馬車でごとごと2週間もの間護送され、その間ジャビットは馬車の中ですさんだ生活を送っていました。
 「ふん、ずいぶん田舎までやってきたものだ」
 ふと、そこそこ大きな片田舎の町に着きました。
 馬車の御者「さあ、ヒロシマ村に着いたぜ・・・さっさと降りな!」
 ジャビット「ふん!よくもまあ2週間もこんな汚い馬車に閉じこめやがって!礼なんかいわねえよ!」
 ジャビットはヒゲはぼうぼう耳は垂れ下がり、すっかりチンピラ風になってしまい、パッと見たら誰もジャビットと気がつかない身なりになっていました。
 「やや!そこにいるのはジャビットじゃぁあるまぁでか?」
 「??うん?もはやかつての『ヨミウリ市の貴公子』と呼ばれた姿をとどめていない俺を見て、すぐに分かるヤツと言えば・・・」
 スラィリー「ああ、やっぱりジャビットじゃないか。ゆうこたぁ、あんたか!つば九郎が預かってくれゆっとったヤツは。」
 ジャビット「ふん!そのとおりだ!俺はもはや囚われの身だ!どこにでも好きなところにぶち込んでくれ!」
 スラィリー「ほうか。そこまで腹をくくっとるなら話は早い。さあ、わしと一緒について来るんじゃ」
 ジャビットは、スライリーに港まで連れて行かれ、小舟に押し込まれました。
 ジャビット「どこ行くねん!まさかこのまま海に投げ込まれてフカのエサにされるんか?そんならそんで本望や!」
 スラィリー「・・・なんで大阪弁になっとるんじゃ。心配せんでもええ。見えてきたぞ。ほれ、あれじゃ」
 すると山の上にロープウェイが走っている島に近づいてきました。


第37話 2002/9/28
 「うーん、ここはやっぱり彼しかいないな。頼んでみよう」
 つば九郎は携帯電話をかけ始めました。
 つば九郎「もしもし、スライリー君?」
 スライリー「やあ、つば九郎さん。元気にしちょるか?」
 つば九郎「突然で申し訳ないが、セントラル島で一番ヘキ地に住んでいるキミにお願いがあるんだ」
 スライリー「・・・ヘキ地とはえらい言われようやのー。」
 つば九郎「実は、人を一人預かってほしい。・・・まあ、キミも会えば知ってるヤツだけど、取り扱いは任せるから逃げないようにだけは注意してほしい。そいつのメシ代は送金するから。」
 スライリー「ふーん、とにかく人を一人預かればええんやね?わかった。で、いつ来るん?」
 つば九郎「これからすぐ送り届ける・・・このお礼は改めて。うん、それじゃお願いします。」
 つば九郎は電話を切りました。
 つば九郎「よし、これからキミをヒロシマ村のスライリー君のもとまで護送する・・・って言っても、カネがもったいないから新幹線じゃなくて荷馬車で送るけどね。」
 ジャビット「いや、ちょっと待ってくれ。私には愛車のバイクのジャーク3号が・・・」
 つば九郎「ああ、あれ?あれなら今ドアラが・・・」
 と、言い終わらないうちに、ドアラが駆けこんできました。
 ドアラ「おーい!あのバイクなかなかええ値で引き取ってくれたっちょよ!」
 つば九郎「スライリーに渡すキミの食いぶち代金ということで、質屋に入れさせてもらったよ・・・ま、悪く思わんでくれたまえ」
 ジャビット「・・・・・・ちょっと待てよ。それならそのカネでさっきの食事代を支払えば、私がここに捕まっている理由がなくなるのでは?」
 シャオロン「・・・・・・そういえばそうか。ま、細かいことは気にしちゃいかんがや。ここはチュウニチ村だぎゃあ。」
 ジャビット「くっそー!21世紀の法治国家とは思えない!!こんな事が許されていいのかよ!!」
 つば九郎「うーん、まあ、おのれの罪深さが引き起こした自業自得ということかな。はっはっはー!・・・・おお、そう言っているうちに荷馬車がやってきたよ」
 荷馬車はドナドナと音を立ててやってきました
 つば九郎「さあ、これがいつもは子牛が乗せられているという『ドナドナ馬車』だ。・・・・じゃ、ヒロシマ村でしっかり悔い改めて来てくれたまえ!」
 シャオロン・パオロン・ドアラ「ほな、さいならー!」
 ジャビットは疲れ果てて返事もできません。「ドナドナドナドーナ」と歌が流れる中で、荷馬車はドナドナ音を立てながら動きだし、ジャビットは静かにヒロシマ村へと護送されていきました。

       
第36話 2002/9/23
 シャロンが振り返ると、お約束のつば九郎がいました。
 シャオロン「なんだ・・・やっぱりおみゃーさんか。せっかくのご忠告だけどね。わしゃこいつを許すわけにゃいかんがよ。なんとしても、ウサギ汁にしてみんなで食ってしまうがや!」
 つば九郎「ふーん・・・・・サバを3枚におろすくらいで兄妹でキャーキャー言ってるキミ達に、ジャビットをキュッとシメてウサギ汁にすることができるかい?」
 シャオロン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・やなこと言うね。なんでそんなこと知っとるんだがね」
 つば九郎「はっはっは・・・これは失敬。ま、どっちにしてもジャビットをウサギ汁にしても何の解決にもならない。人質というものは生かしておいていたぶってこそ有効な使い道があるというもの。」
 シャオロン「・・・言っとることはおみゃーさんの方がえげつにゃーがや・・・」
 ジャビット「いいかげんにしろ!私を辱めるというのなら私は名誉ある死を選ぶぞ!」
 つば九郎「・・・・また強がりを・・・まあ、どっちにしてもこのジャビットを人質にしても実はそれほど意味はないよ。こいつはコードナンバー333のジャビットじゃないか」
 シャオロン・パオロン・ドアラ「えーーー!!!!ジャビットって何人もいるん???」
 つば九郎「なんだ、知らなかったの?ヨミウリ市を実質仕切っているのはコードナンバー555のジャビット。別名「暗黒のウサギ」と呼ばれているジャビットだ。333のジャビットは、表面的に出てきて踊らされているジャビットに過ぎないのだ・・・なあ?」
 ジャビット「ちょ!ちょっと待ってくれ!そんな話私も初めて聞いたぞ!!!」
 つば九郎「あれ?あなたも知らないの?555のジャビットはあなたの双子の兄弟のはずだよ。ヨミウリ市の実権と実務は彼が握っているんだ。だいたいあなた、ヨミウリ市やセントラル島の支配に関係するややこしい事務仕事とか労務管理とかマネジメントなんかやったことあるかい?」
 ジャビット「・・・・そういえば、そんな難しいことはしたことがない。誰がやってくれてたんだろう?」
 つば九郎「それをやっているのが555のジャビットさ。あなたは知らず知らずのうちに555のジャビットの影武者みたいなことをやらされていたのさ」
 ジャビット「そうだったのか!悔しい〜っ!!なんでこの私を差し置いて・・・・」
 つば九郎「だいたいヨミウリ市では3のつく人にろくなヤツはいないでしょ」
 ジャビット「こうなった以上、もうヨミウリ市に未練はない。さあ!煮るなり焼くなり好きにしてくれ!」
 つば九郎「そうはいかない。あなたは大切な我々の人質だ・・・。とりあえずどっかで監禁しようと思うのだがどこが良いだろう・・・」
 つば九郎は手帳をめくり始めました。

       
第35話 2002/9/19
 そうこうしているウチにシャオロンが行商から帰ってきました。
 シャオロン「ふぅー。今回はあんまりええ稼ぎじゃなかったわー。」
 パオロン「ああっ!シャオロン兄さん!待っちょったんだわー!」
 ドアラ「おお!ええところに帰ってきたでゃ〜」
 シャオロン「なんじゃ。どしたんじゃね、そげに慌てて」
 ドアラ「ほれ、そこの玄関の隅を見てみるがね」
 そこには、ナワでグルグルに縛られたジャビットがいました。
 シャオロン「・・・・・・・・!!!どしたんじゃ!これは!」
 パオロン「無銭飲食の罪で、ドアラの兄さんが捕まえてくれたがや」
 ジャビット「・・・・いや、シャオロン・・・さん。これには深いワケが・・・。確かに世間知らずだった私も悪いが、決して食い逃げしようとしたワケじゃ・・・」
 シャオロン「・・・・なんとまあ、あの傲慢不遜なジャビットがこんなに弱々しく・・・わしゃ同情を禁じ得ないがや」
 ジャビット「そうだろう!それならすぐに私を・・・」
 シャオロン「しかし!!!これまで悪どいことを重ねて巨万の富を重ねてきたジャビット!ここで会ったが百年目だぎゃあ・・・・・チュウニチ村憲法第43条によりわしゃおみゃーを処罰するがや!・・・いやしかし、まさかこの条文が役に立つときが来るとはなあ〜。武闘派の前の村長さんにお願いしておいて良かった」 
 ジャビット「ちょ・・・ちょっと待て!私に何かあったらヨミウリ市が黙っていないぞ!」
 シャオロン「あー、心配ねーがや。おみゃーさんをウサギ汁にして証拠を消しとくから。」
 ジャビット「う、ウサギ汁・・・やめとけ!私は美味しくないぞ。こんなウサギの化け者なんか!」
 パオロン「大丈夫だがや、竜の世界に好き嫌いはないから」
 ジャビット「た、助けてくれーっ!!ウサギ汁だけは勘弁してくれー!!!!」
 ジャビットが暴れて泣き叫ぶと、
 「まあまあ、脅かすのはそのくらいにしておあげなさいよ」・・・


    
第34話 2002/9/18
 ドアラ「今回は何の目的だぎゃ!返答次第ではタダではすまん!」
 ジャビット「いや、単なる視察旅行・・・無銭飲食なんかこれっぽっちも思ってない」
 パオロン「何言うとるっちょ!悪意はのーでも、カネがなけりゃ結果的に無銭飲食だがや!」
 ジャビット「だから、家に言えばそれくらいのカネは・・・」
 ドアラ「いーや、許されん!チュウニチ村の憲法にのっとりおみゃーさんを処罰する!」
 と言いながら、ドアラはジャビットをグルグルに縛り上げました。
 ジャビット「ちょ!ちょっと待て!警察でもないお前になぜ縛られなけりゃならんのだ!」
 ドアラ「知らんのかよ。チュウニチ村憲法第12条『ジャビットが犯罪行為を行った場合は何人たりでもジャビットの身柄を拘束できる』・・・・」
 ジャビット「知るか!そんなもの!基本的人権の侵害だ!弁護士を呼んでくれ!」
 ドアラ「チュウニチ村憲法第38条『ジャビットは、チュウニチ村においてはすべての公民権は剥奪され、基本的人権も認められない』・・・」
 ジャビット「ちょ!ちょっと待て!そんな無茶苦茶な法律があるか!」
 ドアラ「何言うとるっちゃ!いつもセントラル島で秩序と法規を乱しとるんはおみゃーさん一族じゃ!!でも、わしも正直この条文が適用される日が来るとは思わんかったよ。はっはっはー!!」
 ジャビット「笑っとる場合か!とにかく警察に連れて行ってくれ。これじゃリンチだ!」
 ドアラ「心配いらんよ。後はシャオロンがおみゃーさんを裁いてくれる。」
 ジャビット「シャ?シャ〜?シャオロンだあ!?なぜシャオロンなんかに裁かれにゃならんのだ!」
 ドアラ「チュウニチ村憲法第43条『シャオロンは、ジャビットの過ちに対し、自らの判断により抹殺も含めたあらゆる処分を下すことができる。なお、これには何人たりとも介入できない。』・・・」
 ジャビット「どんな法律じゃそれは!『機動刑事ジバン』の対バイオロン法のマネか!!」
 ドアラ「そんなマニアックな特撮はわしゃ知らねーよ。とにかく、おみゃーの処遇はシャオロンが決める。それまでここでひかえちょれ!」
 普段から人一倍ヨミウリ市に敵対心を燃やすシャオロン。彼に裁かれたらタダでは済まない・・・ジャビットは明日は果たして生きていられるのだろうかと恐怖におののいています。 


    
第33話 2002/9/15
 ミスタージャビットはヨミウリ市を出て愛車のバイク、ジャーク3号をあてもなく転がしていましたが、やがてチュウニチ村にたどり着きました。
 「ふん・・・相変わらずパッとしない街だ。とりあえず食事といこう。大したものはなさそうだが・・・」
 ジャビットはとりあえずその辺で一番マシそうな店に入りました。
 店員「いらっしゃーい!」
 ジャビット「これ給仕、この店で一番高いものは何かね?」
 店員「・・・・・? えー、やっぱりひつまぶしとエビフリャーと味噌煮込みうどんのセットが一番豪華でお得だぎゃーね」
 ジャビット「そうかね。じゃ、それを良きにはからってくれ」
 店員「・・・・・?お客さん、とりあえずご注文でええんかね?スペシャルデラックスひつまぶしセットひとーつ!」
 ジャビット「うむむ、なんという下品な応対だ・・・店構えを小綺麗にしててもしょせんはイナカか・・・」
 ぶつぶつ言っている間に、スペシャルデラックスひつまぶしセットが出来上がりました。
 ジャビット「うむむ、なんちゅう濃い食べ物だ・・・こんなもの全部食べられるか!一番高いもんと言ったら懐石料理みたいなものが出ると思ってたのに・・・なんじゃこれ!味噌でドロドロじゃんか!むむむ・・・・まずい!!もう一杯!」
 ブツブツ言いながらも、ジャビットはぜんぶたいらげてしまいました。
 ジャビット「これ給仕。カードの支払いはできるのかね?」
 店員「あたりまえだぎゃあ。ウチは名鉄百貨店カードでもココ一番屋カードでもなんでもOKっちょよ」
 ジャビット「ふむ、じゃこのアメックスのウルトラゴールドカードで・・・」
 店員「ありがとうございます・・・・あれ?お客さん?このカードエラーが出るんだけど・・・」
 ジャビット「何?そんなはずは・・・じゃあ、こっちのビザマスターゴールドカードは?」
 店員「・・・・・これもエラーが出るけどお?」
 ジャビットはありったけのカードを出しましたが、すべてエラーが出ます。
 店員「あー!お客さん!これ全部有効期限が過ぎているっちょよ!」
 ジャビット「有効期限・・・・?カードにそんなものあるのかね?」
 店員「お客さんそんなのも知らんのかね?まあしゃあないなー。じゃ、現金で払ろうてくれる?」
 ジャビット「・・・・いや、私は現金などは持ち歩かない主義で・・・」
 店員「なんと!ほんじゃあんたそれは無銭飲食だぎゃあ!警察を呼ぶっちゃ!」
 ジャビット「いや、ちょっと待ちたまえ・・・。私はヨミウリ市の大富豪ジャビットだ。家に連絡すればカネなど・・・」
 店員「そんな金持ちがこんなインチキカードを持ってるわきゃねーだわさ。無銭飲食!タダ食いだぎゃあ〜」
 店員が叫ぶと、隣のスポーツジムからドアラが駆けつけてきました。
 ドアラ「どしたんじゃ!パオロン!」
 パオロン「ドアラの兄さん!こいつがニセのカードでタダ食いしようとしたっちゃ」
 なんと店員はパートに来ていたパオロンでした。ドアラはジャビットの顔を見るなり
 ドアラ「ああっ!貴様は巨悪ジャビット!よくまあぬけぬけと・・・!」
 ジャビットは血の気が引いてきました。


第32話 2002/6/13
 ミスタージャビット「ふっ・・・冗談はよせ。俺のどこが弱虫だって言うんだい?」
 シスタージャビット「だいたい自分にずいぶん自信を持っているようだけど、こんな超高層ビルのてっぺんからほとんど動こうともしないじゃないの?貴方はヨミウリ市を一歩出れば誰からも嫌われたり恨まれたりしているから、ここを離れたらいつ闇討ちに遭ってもおかしくないわ。逃げたボールの秘書を怖がるのも、彼ならヨミウリ市の中でも貴方を闇討ちできるし、おちおちヨミウリ市の中も歩けないからでしょう?」
 ミスタージャビ「ふっ・・・お見通しだな・・・さすがはマイハニーだぜ・・・」
 シスタージャビ「自分がセントラル島一番だとうぬぼれるのは、ヨミウリ市を出て、荒野でトラッキーやスライリー達と1対1で闘って勝ってからになさい」
 ミスタージャビ「ふっ、そんなこと俺にはワケないことだ・・・分かったよ。マイハニーのご機嫌を取るためにちょっくらトラッキーでもひねって来ようかな・・・じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
 ミスタージャビットは引き出しの中に無造作に放りこんでいるウルトラスーパーゴールドクレジットカードを何枚か取り出し、ろくな身支度もしないで部屋を出て行きました。
 それを見届けたシスタージャビットは「何にも知らないバカなおぼっちゃん・・・・せいぜい苦労してくるといいわ」と妖しい微笑みを浮かべるのでした。


第31話 2002/6/10
 一方、ジャビットはヨミウリ市の超高層ビルから下界の様子を眺めていました。
 ジャビット「秘書、最近のセントラル島の様子はどうか」
 秘書「ははっ、ハンシン村がなぜか近年例を見ない好景気で、トラッキーは金ピカの衣装を着て、ラッキーは金銀パールを片っ端から身につけて羽振りが良いようです」
 ジャビット「ふん、成金の悪趣味めが。しょせん貧乏人はカネの使い方を知らん」
 ジャビットはナポレオンのグラスを傾けながら、バスローブ姿でつぶやきました。
 ジャビット「私とトラッキーが盛り上げたら、セントラル島は安泰だという。確かにそうかもしれないが、あんな下品な奴と一緒にされると思うだけで身の毛がよだつ・・・」
 秘書「ここらで闇でトラッキーを痛い目に遭わせておくべきかと・・・」
 ジャビット「ふん、天下のジャビット様とあろうものがそのような汚い手は使わん。正々堂々と地獄の底へたたき落としてくれるわ」
 秘書「しかし、トラッキーに限らず、スライリー、シャオロン、つば九郎といった面々がご主人様を痛い目を遭わそうしているという情報を入手しています」
 ジャビット「ふん、ゴミどもがいくら集まろうと取るにたらん。ほおっておけ。ところで、逃げ出した秘書の行方は分かったか?あいつは私の弱みをたくさん握っている。見つけ次第処分してかまわん」
 ジャビットは、逃げ出したボール秘書の行方を尋ねました。
 秘書「ははーっ。我々秘書一同のメンツにかけても、裏切り者は必ず探し出し口を封じます」
 ジャビット「うむ、下がって良い」
 秘書が部屋を出て行くと、奥の部屋のカーテンが開き、
 「ふふっ、相変わらず貴方は弱虫ね。あんなボールの秘書のことなんかほおっておきなさいよ」と、
 ドンペリのグラスを傾けながら、ネグリジェで網タイツ姿のシスタージャビットが現れました。


第30話 2002/6/1
 振り返ると、そこにはつば九郎が立っていました。
 「まったく・・・そんなあさましいことを言い合ってる場合かい?とうとうキムチ島合同の蹴鞠大会が始まってしまったじゃないか!今年はいつもにも増して我々には話題やニュースがないんだ。ここで我々が一致団結しなくてどうする!」つば九郎は熱弁をふるいました。
 ・・・が、スライリーとシャオロンはシラケた目でつば九郎を見つめます。
 つば九郎「・・・うっ・・何か文句ある?」
 シャオロン「あのなー。おみゃーさんの言うことは間違ってはにゃーよ。でも、今のおみゃーさんにそんな偉そうには言われたくないよ」
 スライリー「そうそう、ワシらとそんなに違わへんやないの。去年とはちゃうよ。」
 つば九郎「・・・・・・貧乏な小生がそうそう毎年勝てるわけないぢゃあないか!キミ達がしっかりしないから、ジャビットとトラッキーが早くも天下を取ったみたいにおごり高ぶってるじゃないか」
 シャオロン「まあ、ええんじゃにゃーか?とりあえずあの2人が盛り上がってりゃセントラル島は安泰だがや」
 つば九郎「・・・情けない言葉・・・わたしゃ痛惜の念を禁じ得ないよ」
 スライリー「まあまあ、つば九郎さん。シャオロンの言うことももっともじゃ。今は適当に盛り上げさせておいて、最後の瞬間にトップに上がりゃええーんや。」
 つば九郎「・・・・・・この時期、毎年毎年そんなこと言ってないかい?」
 スライリー「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・まあともかく!!調子こいてるトラッキーだけは今のうちにやっつけておかないといけんな〜」
 つば九郎「まあとりあえず、諦めるのはまだまだ早い。まずはトラッキーとジャビットを着実に撃破していくことを考えよう」
 3人は顔を寄せてああでもないこうでもないと議論を始めましたが、とうとう最後までホッシーについては一言もふれられないまま終わってしまいました。
 


第29話 2002/5/30
 スライリーは毎年この時期は顧客拡大のために北の方を営業に回るのですが、今年もこれと言った成果を上げられませんでした。
 「うーん、ヒロシマ村だけではジリ貧と思って巡業に回ったけど、他のところはみんなジャビットに洗脳されてしまっているなあー。これではよけい商売にならん・・」
 スライリーがぶつぶつ言っていると、向こうの方から聞き覚えのある大八車の音が近づいてきました。
 スライリー「はっ!この音は・・・」
 シャオロン「よう!スライリー!何か買うてちょーよ!」例によってシャオロンが押し売りにやってきました
 スライリー「・・・あのなあ、ワシらは今年は蹴鞠の世界大会に売り上げのほとんどを持っていかれるんよ!あんたもそんな押し売りやっとる場合かいな!」
 シャオロン「何言うとるっきゃ!蹴鞠大会のせいで俺らは商売を休まなきゃならんのだにゃーも。稼げるときに稼いでジャビットに正義の鉄槌を食らわすだがや。今日はこの名古屋コーチンういろうがおすすめだぎゃあ。」
 スライリー「わかった、それなら買うてやる。そのかわりワシも商売でやってきとるんじゃ。こっちもタダであんたを返すわけにいかん。何か買うてもらうけんの!」
 スライリーはおもむろに風呂敷を広げ、売れ残った牡蠣もみじまんじゅうを取り出しました。
 するとそこに、「何をやってるんだキミ達!情けないと思わないのか!」と2人を叱責する声が聞こえました。



第28話 2002/5/19
 スライリーが相変わらず冷凍の味噌エビフライを食べていると、
 「いよぅ!元気かスライリー!」と声が聞こえてきました。
 スライリーが振り返ると、そこには葉巻をくわえて金のネックレスをしたトラッキーが立ってました。
 スライリー「ト、ト、トラッキー!なんじゃそのカッコは?」
 トラッキー「いやあ、最近景気が良うてなあ!ちょっと贅沢させてもらっとるんや」
 スライリー「それでも、そんな無駄遣いしたらあかんじゃろ・・・」
 トラッキー「何言うとるねん!世の中不景気でデフレやからこそ、カネを持っとるヤツが使わないといかん!お前のところも儲かっとるんやから、そんな冷凍エビフライなんか食うな!」
 スライリー「ウチは全然や。調子が良くても平日には観光客がけーへんのじゃ。」
 トラッキー「そうかそうか、ま、ウチは今まで強ようもないのに観光客が来るって散々ミソカスに言われとったけど、今年はようやく実力に見合うだけ客が来るようになったなあ。ハッハッハ!」
 スライリー「まあ、それはそれでええけど、ジャビットがお前を闇討ちにしようとしとるらしいで。油断してたらあかんよ」
 トラッキー「ん?ああそうか。まあ、ジャビとオレが盛り上げたら、とりあえずはセントラル島は安泰やからなあ〜。まあ、お前らも頑張ってや!ガハハハハ!」
 トラッキーはハンシン村で醸造された金箔入りの清酒を土産に置いていって去っていきました。
 スライリーは、確か3年前にも同じような光景を見たなあと思いながら押入を探していると、金でできた月見草を見つけました。
 「そうじゃった。こんなもんをあいつ配ってたなあ〜。ま、トラッキーはジャビと違って悪い奴やないけどすぐ調子に乗るからのおー」と言いながら、金の月見草を質屋に持っていくのでした。 



第27話 2002/4/21
 マーくんはロッテ村に帰ってから完全に寝込んでしまい、さらに病床にふせっている間に親友のバフィー、ファイティーにすら身ぐるみはがされてしまい、借金は増える一方でした。
 マーくん「ううう・・・このままじゃダメだ。一体どうしたら良いんだろう・・・・」
 マーくんが病床でうなっていると、ネッピーくんからオリックス村にぜひ来て欲しいという手紙が来たので、マーくんは病身をおして訪ねていきました。
 ネッピー「おおお!マーくん!よう来てくれたなあ!」
 マーくん「見ての通りボロボロだよ。バフィーもファイティーも人が弱ってると見たら無茶苦茶しやがるんだ・・・。ところでお呼びということは何か良いものでもくれるんだろうね。」
 ネッピー「うんうん。実はあんたのところのタオル回しの新興宗教の連中にウチに村に来てもらいたいんや。」
 マーくん「なんで?」
 ネッピー「見ての通りオリックス村は、今年になってますます寂れてきたんや・・・今年は「球公園」を作ってメジャー大陸みたいな商売したら流行るかと思ってたんやけど、やっぱり商人は見た目に騙されんなあ〜。そんでちょっとでも観光客を増やすために、あんたのとこの新興宗教の連中に観光に来てもらいたいんや。」
 マーくん「それくらいならお安いご用さ。で、それの見返りは・・・?」
 ネッピー「今年からウチで売り出した特大のフランクフルト、『グリーンモンスター』とかを1年分でどや?」
 マーくん「うん、客が少ないのはお互い様。まあ、まかせといて」
 マーくんはグリーンモンスターを食べると元気が出てきて、ようやく借金を少し返すことができました。
 マーくん「よしっ!元気が出てきた!これで今までの恨みを・・・」
 元気が出てきたマーくんはレオとファイティーからいくらかカネを奪い返し、かなりの借金を返すことができました。


第26話 2002/4/5
 一方、マーくんはパシフィック島に戻ってからろくな目にあっていませんでした。
 帰ってきた早々、泥だらけのマーくんは「汚い!」と一喝されレオに水をぶっかけられしまい、それ以来元気がありません。
 「うーん、これは風邪をひいたかな・・・いきなりレオに北の方に連れて行かれたと思ったら水をぶっかけるんだもんな。はやくロッテ村に帰りたいなあ」とマーくんがつぶやいていると、
 「いよう、マー。元気か?その分じゃ今年もパッとしねえだろうなあ・・・」といやらしい声が聞こえてきました。
 マーくんが顔を上げると、ハーキュリーホークが見下すように立っていました。
 「ハッ、ハーキュリーホークくん!・・・何だよその失礼な態度は!」マーくんは珍しく声を荒げました。
 ハーキュリー「ん?いやあ〜ゴメンゴメン。見てると余りにも情けないんでなあ。思わず格別の慈悲をもって声をかけてやったよ」
 マーくん「かっ・・・『格別の慈悲』だぁ・・・?やいっ!キミにそんな情けをかけられる筋合いはない!ハリーは心を入れ替えて心の浄土を求めて出家したというのに、なんだよキミのその横柄さは!」
 ハーキュリー「ふん、ハリーは所詮中途半端なヤツたい。俺は今まで通り力でねじ伏せるまでっちゃよ」
 マーくん「くそ〜!負けるもんか!」
 マーくんはハーキュリーに飛びかかりましたが、元々ハリーよりも大柄なハーキュリーにかなうわけもなくボコボコにされてしまいました。
 ハーキュリー「ふん、口ほどにないお坊ちゃんが!」
 マーくんは立ち直れないほどボロボロにされてしまい、大事にしていた小さい人形まで壊されてしまいました。
 マーくん「トホホ・・・一体どうしたらいいんだろう?」
 マーくんはやっとの思いでロッテ村に帰ってきました。


第25話 2002/4/1
 スライリーがぶつぶつ言いながら味噌エビフライを食べていると、ホッシーが訪ねてきました。
 スライリー「やあホッシー!今日は3人そろってどうしたん?」
 ホッシー「実はやっと研究に研究を重ねたダンスが出来上がったんだ。見てくれるかい?」
 と言って、ホッシーはホッシーゾ、ホッシーナと踊り始めました。
 しかし、スライリーから見ると、どうも納得がいきません。
 スライリー「うーん、なんかおかしいのー」
 ホッシー「え?どこが?」
 スライリー「去年までは、力で押すんやなくて頭を使ってのらりくらりかわしとるステップだったのに・・・あのステップはどうしたん?」
 ホッシー「実は、その振り付け師がメジャー大陸に渡ってしまったんだ・・・」
 スライリー「そうかー。あのひげ面のおかしなメガネをかけた振り付け師がいなくなってしもとんか・・・それではヒロシマ村では流行らんよ。あきらめてとりあえず帰りんさい」
 ホッシーは、田舎のヒロシマ村なら大ヒットと思って巡業にやってきたのに、まったくアテがはずれてしまいひどくがっかりしてしまいました。
 「よし、次はトラッキーだ!あいつは単純だからきっと大丈夫!特訓じゃ!」といやがるホッシーゾとホッシーナを引きずるように連れて帰っていきました



第24話 2002/3/31
 スライリー「やれやれ、相変わらずシャオロンは強引やなあー。あんた。カモメやったらエビ好きじゃろ?ワシのも全部あげるきに」
 マーくん「セントラル島でもあそこまでしないとダメなのか・・・あれじゃキャッチセールスだよ」
 スライリー「これでようわかったじゃろ。セントラル島もこんなもんなんよ」
 マーくん「そうだったのか・・・みなさん苦労してるんだね」
 スライリー「ジャビットが巨万の富を独占しとる。それが分かっていても打ち崩せんワシらが情けないよ。万一ヨミウリ市が経済不安に襲われたらワシらもただではすまん。おそらくはパシフィック島よりひどいことになるかものお。」
 マーくん「だからといって、このままジャビットの傲慢を許してちゃ・・・」
 スライリー「さあさあ、そこなんよ。そのためにはジャビットの力を頼らんと、ワシらの自力で活性化をはからにゃならん。このデフレから脱却し、高賃金体質を乗り切らないといかん。」
 マーくん「スライリーは何も考えてないようでいろいろ考えてるんだね」
 スライリー「それは全然ほめとらんな・・・」
 マーくん「とにかく、これからはジャビットのバブル景気に頼らず、僕らで島の繁栄を考えていかないといけないわけだね。」
 スライリー「そういうこと、そのためには色々手は打たないといけん。あんたのところのタオルを回す新興宗教の連中も大事にせにゃならんよ。」
 マーくん「うん、なんせ僕は彼らの機嫌をとるため特攻服を着てヤンキーのマネまでさせられるありさまで・・・」
 スライリー「それはそうとそろそろ帰らんと干潟が満潮になるで」
 マーくん「あっ!そうだった!いろいろお世話になりました。今年の秋には島の代表同士としてお会いできるように頑張ります。」
 スライリー「うん、ワシも楽しみにしとるで」
 そう言ってマーくんは泥だらけになって干潟を渡り始めましたが、スライリーはなんでカモメなのに飛んで帰らないのか不思議に思うのでした
 ・・・・と思ったのもつかの間。ふと気が付くとさっきシャオロンが押し売りした味噌エビフライが大量に残っているのに気が付きました。
 スライリー「しまった・・おーい!これを持って帰ってくれ・・・おーい!!」
 しかし、聞こえないのか聞こえないふりをしているのかマーくんは立ち止まらりませんでした。貧乏性なスライリーは味噌エビフライを捨てることもできず、しばらく味噌臭くなってしまいました。 


第23話 2002/3/25
 振り返るとシャオロンが大八車を引っ張って走ってきました。
 シャオロン「おみゃー、逃げることにゃーがも。薄情じゃにゃーかよ。」
 スライリー「た・・・短足なんに足が速いの」
 シャオロン「そんあこたぁどーでもええよ。それよりエビフリャー買ってちょーよ。今は限定販売の味噌エビフリャーがおすすめだがや」
 スライリー「あんた、この期に及んでまだ商売するんか!」
 シャオロン「いつも言っとるがや。ジャビットに勝つためにはカネがいるんだぎゃあ!うまいもんだで買ってちょーよ!特別に半額でサービスするがや!・・・おお!そこにいるアヒルさんもどうかね?」
 シャオロンは売れ残りの味噌エビフライを全部スライリーとマーくんに押しつけて、代金を巻き上げて逃げるように大八車を引いて去っていきました。
 後には味噌臭いスライリーとマーくんが呆然と取り残されたのでした。


第22話 2002/3/24
 スライリーとマーくんがヨコハマ村に入っていくと、けたたましい音楽が聞こえてきました。
 ホッシー「こら、ホッシーゾ!そこはそんなステップじゃダメじゃないか!もっと軽やかに、飛ぶようなステップで・・・」
 ホッシーゾ「そんなこと言うけど、お父さんだって頭がデカ過ぎてフラフラしてるじゃんか!」
 ホッシー「・・・うっ・・うるさい!お前だって大きくなったらこうなるんだ!とにかくもう一度最初からだ!」
 ホッシー、ホッシーゾ、ホッシーナは音楽にあわせて歌いながら踊ってました。
 マーくん「・・・あれ、何してるんですか?」
 スライリー「うん、あいつのところ、こないだまで漁師のおとんがおったんじゃろう。ところが、そのおとんが夜逃げしてしもぉたんで、それでテレビ局の新しいおとんが面倒見てくれることになったんじゃが、テレビ局じゃけぇこれからぁ歌って踊れんといけんっちゅうことで、必死に練習しとるわけや」
 マーくん「あんなデカい頭で踊るのは大変じゃないの?」
 スライリー「そうじゃ。去年まではホッシーは子供らに飛んだりゃぁねたりするなぁ任せっきりじゃったけど、今回はさすがに自分も歌って踊れんといけんようじゃの」
 マーくん「そうなのか・・・セントラル島でもお父さんが夜逃げするところがあるんだね」
 スライリー「まあ、景気が悪いからのー。・・・・一生懸命踊ってるのに声かけるのも悪いけん帰ろうか?」
 スライリーが帰ろうとすると、どこからか味噌のにおいが漂ってきました。
 スライリー「ん?このにおいは・・・いかん!あんた、走るけぇついてきんさい!」
 マーくん「え?え?どうしたの?」
 マーくんがあわててスライリーについていくと、
 「やあ、スライリーだがや!ちょっと待ってちょーよ!」と叫ぶ声が聞こえてきました。


第21話 2002/3/16
 「久しぶりじゃのー。元気か?」スライリーはつば九郎を訪ねました。
 つば九郎「やあ、誰かと思えばスライリー君じゃないか。まあ、こっちに上がりたまえ」
 スライリー「・・・・・何しとるん?」
 つば九郎「見て分からないかい?神の御前に祝詞を上げているんじゃないか」
 スライリー「そうか、ヤクルト村には大きな神社があるけんな。しかし、なんであんたが祝詞を?」
 つば九郎「はっはっは・・・・。なかなか本業だけでは生活費が苦しくてね、宮司のバイトもしているんだよ・・・。ところで、そばにいるアヒルさんは一体どちら様かな?」
 マーくん「アッ・・アヒル・・・失礼な!僕はカモメです!そういうあなたこそ一体何です?ペンギンですか?それとも黒いスズメ?」
 つば九郎「はっはっは・・・これは失敬。私はつば九郎というツバメでございます。ご無礼の段、お許し賜りたい。ところで、しがない貧乏人の私に、一体どのような御用向きかな?」
 スライリー「実はこの人パシフィック島から来たんやけど、えらく自分を世間知らずやと責めるんもんで、そんならセントラル島の様子をつぶさに見せてあげようと思ってなあ」
 つば九郎「はっはっは・・・そうですか。それはありがたいこと。ところで見てのとおり、私も去年はこのセントラル島の勝者にはなったものの見てのとおりの貧乏暮らし、というのもジャビットが財産にモノを言わせて高額な輸入品を買い集めるようになり商売にカネがかかるようにしてしまったからなのです」
 マーくん「そうですよね。ウチもパッとしないのにお金だけはかかります。」
 つば九郎「そこで、私とスライリー君は輸入ものに頼らず、自分でブランドで育成して勝負に出た結果、なんとか昨年は悪の枢軸ジャビットを封じ込めることができたのです」
 マーくん「なるほど、やっぱり地道な努力が大切なんですね」
 スライリー「セントラル島も決して賑やかなだけじゃないんよ。いまだにバブリーなのはヨミウリ市だけじゃ。チュウニチ村のシャオロンなんかジャビットに勝つためにエビフライの行商までしとるけんの」」
 つば九郎「そうだ、スライリー君。せっかくだからヨコハマ村のホッシー君のところにも連れて行って差し上げてはいかがかな?」
 スライリー「そうそう!セントラル島で今一番悲惨な奴じゃきに。さあ、ついてきんさい」
 スライリーはマーくんを連れてヨコハマ村へ向かいました 


第20話 2002/3/10
 「さてと」スライリーはマーくんを振り返りました。
 スライリー「わざわざワシを尋ねてくれたそうじゃけど、一体どんな用で?」
 マーくん「はい、セントラル島に同志を作れとダイエー村のハリー君に薦められたんです。」
 スライリー「ダイエー村の・・・?おお、そうやそうや!なんでもハリーは出家して琵琶法師になったとか・・・ウワサは聞こえとるで」
 マーくん「え?ハリー君を知ってるんですか?」
 スライリー「ちょっと前までバブルの申し子っちゅうこうとでウワサはセントラル島でも広がっとったよ。あいつも悟りの境地に達したか。世の中変わるもんじゃのー。」
 マーくん「そのハリー君にスライリーさんに会ってくるように言われたんです。」
 スライリー「スライリーさんはやめてつかぁさいよ。スライリーでええよ。ところで、ワシもあんたのことは前からしっとったよ。」
 マーくん「え?なんで?」
 スライリー「なんでもあんたのとこのロッテ村は、パシフィック島で一番観光客と買い物客が少ない寂れた村やと有名やったよ。ダウンタウンの商店街で流しそうめんやキャッチボールができるくらいやったそうやないか。ウチもさすがにロッテ村だけには負けてないと、それだけを心の支えにしてたんやが・・・とうとうここ2年ほどは、あんたのとこのロッテ村にさえ、ウチのヒロシマ村は負けてしまってるんや・・・」
 マーくん「え?そうだったの?全然知らなかった・・・最近タオル教の信者が増えてるとは聞いてたけど・・・」
 スライリー「いくら親父さんが金持ちでも、自分とこの村の家計くらいは知っとかなあかんよ。ワシは村の売店のきつねうどん屋の売り上げも知っとるよ。ウチは親父も貧乏やから、誰も助けてくれへんのよ」
 マーくん「そうだったのか・・・ウチは知らない間にお父さんがお金を持ってきてくれるからなあ・・・。やっぱり僕は世間知らずのお坊ちゃんなんだ」
 スライリー「それがわかればええ。ちょっとワシについてきんさい。」
 スライリーは、マーくんをヤクルト村に連れていったのでした。
第19話 2002/3/6
 マーくんが驚いていると、そこに突然ネッピーくんが現れました。
 ネッピー「もうしもうしそこのお方、何か買うて下さいよー」
 ネッピーくんは、ついさっきマーくんと会ったときよりさらにみすぼらしくなってました。
 マーくん「ネッピー君!一体どうしたの・・・・?」
 スライリー「いきなり買って下さいと言われてものー。しかしそのお姿を見る限り何か事情がありそうじゃの」
 ネッピー「いやあ、実はさっきトラッキーに身ぐるみはがされたんですわー。とてもとても今のままではジャビット退治は無理ですわー」
 スライリー「なんと、あんたもジャビット退治の志をもっとるんか!でも、あんたのところの親父さんはヨミウリ市のナベツーネ首領よりも金持ちやないの。その気になればヨミウリ市なんかひとひねりちゃうん?」
 ネッピー「いや、それがあーた。ウチの親父は『ケチは美徳なり』というワケのわからん家訓をタテに全然カネを出してくれんのです。そのおかげで毎年のように優秀な社員が逃げてしまって・・・」
 スライリー「そうかー。あんたも苦労してるんじゃのぉ。わかった、これを持っていきんさい」
 と、スライリーはムツゴロウを売ったなけなしのカネのうち9ゴールドをネッピーに渡しました。
 ネッピー「え?買ってくれはるんですか?どうもおおきに!お礼に一言せんえつながらアドバイスします。そこに飾ってある外国製の置物2つのうち1つは完全に不良品でっせ。早くクーリングオフして返品した方がええと思いますよ」
 スライリー「さすが目が高い。ワシも薄々そう思っとったんじゃ」
 ネッピー「ほんじゃ失礼します。ジャビット退治にいかなくちゃ・・・」
 ネッピーくんはスライリーの前を後にしますが、ネッピーと顔を会わさないようにとジャビットはナベツーネ首領にきつく言われているので、ジャビットに会う機会が無いことをネッピーくんは知らないのでした。
第18話 2002/3/3
 パシフィック島とセントラル島は遠浅とはいえ、干潟になっているので非常に歩きにくいのです。しかし、その中をマーくんは泥だらけになって歩いていきました。
 セントラル島に近くなると、何やら泥の中でバタバタ暴れているのを見つけました。これ以上泥だらけになってしまうのはまっぴらとマーくんがよけようとすると
 「あ〜!あんた!そっちにでかいのが1匹逃げた!ちょっとつかまえちゃってくれ!」と泥だらけの毛むくじゃらが走ってきました。マーくんは恐怖すら感じましたが、とにかく何が逃げてきたのか見回してみると、泥の上を1匹の魚が飛び回っていたので、マーくんは帽子でそれをすくいました。
 「あー、すまんすまん、せっかくの帽子を汚してしまったのぉー。お詫びするけんこっちへ来てつかぁさい」とマーくんは泥だらけの毛むくじゃらに砂浜へ案内されました。
 「あ・・・いや、元から泥だらけだったから・・・ところで、こんな干潟で何をしていたんですか?」マーくんが尋ねると
 「え?いやいや〜この時期だけパシフィック島との海峡が浅瀬になるじゃろ?そんで干潟のムツゴロウを取っとったんじゃ。なんせウチは貧乏じゃけん、ここで取ったムツゴロウを売って生活費の足しにしとるんじゃ」
 「なんとまあ・・・金持ちが多いって聞くセントラル島にもこのような苦労をしている方がいるのですね」マーくんは出家したハリー君の姿とだぶって、思わず痛惜の念を禁じえず落涙をしたのでした。
 「ウチは昔から貧乏じゃけんの、別に気にしてなぁんじゃよ。ところであんたぁパシフィック島からわざわざ何しに来たね?」
 「はっ、そうだった。僕はロッテ村のマーって言います。ちなみにアヒルじゃなくてカモメです。実はパシフィック島で友達にセントラル島のとある人に会ってこいと薦められました。その人の名前は・・・ヒロシマ村のスライリー・・・」
 「ふむ、スライリーってのはワシのことじゃが」
 「え〜!!!!!」
 マーくんは腰をぬかさんばかりに驚きました」
第17話 2002/2/22
 マーくんが海岸から岬に戻ってみると、1人の琵琶法師が琵琶を弾いていました。琵琶法師は「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらわす・・・」と平家物語を語っていました。
 マーくんがあまりにもその異様な光景に一瞬たじろいでいると、「マーよ、愚かな野望は捨てるたい。奢れるものも久しからずっちゃよ」聞き覚えのある声。よく見てみてみると、なんと、琵琶法師はハリーホークでした。
 マーくん「ハッ・・・・ハリー君じゃんか!!どうしたのそのカッコは!!」
 ハリー「いやいや、もう世の中が虚しくなってよー。出家したばってん。ほんでこうして琵琶を弾きながら文字通り諸国行脚の旅に出とるたいね」
 マーくん「いやしかし・・・そのどうしてまた・・・」
 ハリー「ダイエー村がパシフィック島で一番羽振りが良かったのはほんの数年前のこと。その時はオレ・・・いや拙僧はいい気になって、ずいぶん島のみんなに嫌われるようなこともしたきに。でも、今やダイエー村は借金取りに追われてしまって、親父なんか身ぐるみはがされそうな感じたい。たった数年で・・・オレ、いや拙僧は胸が張り裂けんばかりに虚しいたい。そんで世の中に無常を感じて出家して平家物語を語って聞かせとるっちゃよ。・・・いやいや、ダイエー村のことは心配ない。後にはハーキュリーホークや爺さん婆さんや子供らが残ってるんで心配なかとよ」
 マーくん「でもどうして僕が愚かな野望を持っているって言うんだい?」
 ハリー「危険を冒してまでジャビットを成敗しても意味がないとよ。ヨミウリ市はいわば平家たい。世は栄枯盛衰、おごりたかぶる連中に明日は無く、必ず仏様はいずれ仏罰をジャビット達に下すとよ。そんな連中相手に、無理をしてまで成敗に行く必要はなかとよ。むしろセントラル島に盟友を作るべく、仲間を求めるために島に渡ってみたらどうっちゃね?」
 マーくん「仲間?たとえば誰がいいかな?」
 ハリー「そうっちゃねー。ヒロシマ村のスライリーはどうかね?かなり変わってるらしいがセントラル島では1本筋が通ってることで名が知られてるたい。」
 マーくん「スライリー・・・・?ああ、あの青い毛むくじゃらの?」
 ハリー「そうそう、昔から毛むくじゃらの奴に悪い奴はいないと言われてるばってん、安心しなあせ。もし万一お前の身に何かあったときは、拙僧が念仏を唱えてかならずお前を極楽往生させてやるき。」
 マーくん「いや、僕は何も死ぬほどのことをする気はないけど・・・そしたらハリーの言うことを信じてスライリーに会ってくるよ」
 ハリー「それが良かと。気をつけるとよ。南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏・・・・・(チーン)・・・・・」
 マーくんはハリーが打ち鳴らす引導鐘と念仏に送られてセントラル島に向かいましたが、引導鐘だけは勘弁してくれと内心思うのでした。
第16話 2002/2/21
 マーくん「何?そのみすぼらしい格好は・・・」
 ネッピー「いやー。ウチの親父は前からケチやったけど、最近それがますますひどおなって、財閥のヨミウリ市に対抗して『ケチは美徳だ』って言い出して、優秀な連中が逃げてしもたんや。そのうち1人の南蛮人はハンシン村に、1人の長老はキンテツ村にヘッドハンティングされてなあー。残ってる連中は『これで商売ができるか!』って騒いどんや。」
 マーくん「そうそう、去年は国宝の振り子までメジャー大陸に競売にかけられたもんな。でも、それはそうとしても、その汚い格好は一体何なんだい?」
 ネッピー「ああ?これ?いやー、知っての通りウチの親父は金も出さんくせにヨミウリ市に異様な対抗心を持ってるんや。そんで海峡が浅瀬になって万一パシフィック島にジャビットが渡ってきたら、上陸する前に闇討ちにせえ、って親父がうるさいんよ」
 マーくん「闇討ちって・・・正々堂々正面から行きなよ」
 ネッピー「アホ言いな!いくらボクでも今のウチの力でヨミウリ市に対抗できるとは思ってへんよ。そんでここに小屋を建てて闇討ちの機会をうかがってたんやが、やっぱりあかんなあ。これで2週間待ってたんやがわざわざパシフィック島にはこーへんな。そんでだんだんカッコばかり仙人みたいになってきたというわけね」
 マーくん「そういえば、海峡に浅瀬ができるのはそろそろ・・・・」
 ネッピー「うん、そろそろ干上がってきたんちゃう?よし!この隙にセントラル島に渡って鬼畜ジャビットを追討するでー!」
 ネッピーはおもむろに着替え始めました。そこでマーくんが岬に行ってみると、確かに海峡が干上がっていてセントラル島に渡れるようになっていました。
 「よし!ここを渡ってヨミウリ市になぐり込みだ!ネッピーより先にジャビットを倒してやる!もうおぼっちゃんなんて誰にも言わせないぞ!」
 マーくんが無謀なたくらみを持って岬から海岸に降りようとした時、『ベーン、ベベーン』と琵琶を弾く音が聞こえました。
 「何?あの音色は?」マーくんはあわてて岬に駆け戻りました。
第15話 2002/2/11
 一方、こちらはパシフィック島のマーくんです。島内行脚は本人は厳しい修行のつもりですが、お父さんのカードで1流とまではいかなくてもそこそこのホテルに泊まって3食に不自由なく旅をしてるので、実質は物見遊山と何ら変わりなくこれといって実力もついていません。
 「うーん、やっぱりダメだ。これじゃただの観光旅行だ・・・・まあいっか。仕方ないや」
 元来坊ちゃん育ちのマーくんはさっさと現状に見切りをつけ、頭を切り換えてしまいました。このあきらめの良さがロッテ村の長い沈滞を生んでいることにマーくんは気がつきません。
 ブラブラと歩いていると、いつの間にかセントラル島との海峡をのぞむ岬に立ってました。不思議なことにこの遠浅の海峡は3月だけ潮が引いて行き来ができるのですが、それ以外の時期は船も通いません。そんな中でロッテ村はいつの間にかパシフィック島で一番セントラル島と行き来をしていない村になっていました。
 「あれがセントラル島か。ざっと見た感じウチの島とそう変わらないけど、あの高層ビルがそびえているのがウワサに聞くヨミウリ市かな。以前はダイエー島にもいっぱいビルがあったけど、みんな差し押さえられたらしいからゴーストタウンみたいになってるし」
 マーくんがぶつぶつ独り言を言っていると、岬のかたわらの粗末な小屋から、「やあ、その声はマーくんとちゃう?」と呼びかける声があったので小屋をのぞき込むと、そこにはオリックス村のネッピーが貧相なちゃんちゃんこを着てワラを打っていました。
 「あれぇ!ネッピー君!?」あまりのネッピーの貧乏ぶりに、マーくんは絶句してしまいました。
第14話 2002/2/3
 秘書「いやいや、お話というのはほかでもない。実は私、ジャビット様一派があまりにも恐ろしいたくらみを持っているので、これはもうついていけないと見限りまして、辞表を置いて逃げてきたのです。」
 スライリー「ちょい待ち。あんた見限ったというとるくせに『ジャビット様』はおかしいのんとちゃう?」
 秘書「ああそうでした。これはとんだ失礼を・・・ではあのクソジャビ公は・・・」
 スライリー「それはまたえらい変わりようやな。それで何が言いたいんじゃ」
 秘書「私は邪悪なクソジャビ公が牛耳るこのヨミウリ市を壊滅すべく立ち上がることにしました。しかし私の力では微力で何もできません。そこで、スライリー様をはじめ他の村の方々のお力になりたいと・・・」
 スライリー「そりゃ力になってくれたらありがたいけど・・・どうしようって言うん?」
 秘書「ははっ、私が収集したクソジャビ公の弱点や情報を、お安く提供させていただきたいと・・・」
 スライリー「なんや、タダちゃうん?」
 秘書「はっ、私も妻子がいる身で・・・家では子供が『ひもじい』と泣いております」
 スライリー「今日び『ひもじい』なんて泣く子がおるかいな!まあええわ。春の商戦に突入したら買うてあげてもええよ」
 秘書「ありがとうございます!いつでもここにご用命を・・・」と秘書は名刺を渡して去っていきました。
 スライリーはどっかで見たことあるやつやなあーと思っていましたが、よく考えるとジャビットの台頭でヨミウリ市の実権を奪われたバットに乗ったボール君であることに気がつくのに10分かかりました。
第13話 2002/2/2
 スライリーはいつの間にかヨミウリ市に入っていました。すると以前ヒロシマ村で飼われていたエトウブタが市のはずれでつながれていました
 「おお〜お前はエトウブタやないか!元気か?」
 エトウブタはブヒブヒ言っています
 「ふ〜、お前もウチにいるときは目玉商品だったのに、ヨミウリ市ではすっかりこんな場末に追いやられて・・・まあ、お前が望んだ道じゃけえの」しみじみ語りかけるスライリーに対し、エトウブタは相変わらずブヒブヒ言っています。
 「ま、これでもお前は幸せなんじゃろ。ここならお前の好きな交尾する相手にも困らんけん楽しいに暮らせや。まあなんちゅうか畜生のあさましさやが、確かに交尾するなら都会に限るけんの〜」
 スライリーがエトウブタ話しかけていると、そばの草むらがガサガサし人影が飛び出してきました。
 「誰や!」スライリーが叫ぶと男は立ち止まり
 「おお!これはどなたかと思えばヒロシマ村のスライリーさんでは?」
 「あんた誰ね?」スライリーは不審そうに尋ねました
 「私はつい先程までジャビットさまの秘書をしておりました秘書でございます。そうそう!スライリーさん実は折り入ってご相談が・・・・」
 秘書はスライリーの耳元に寄っていきました
第12話 2002/1/31
 「ふん、おぼっちゃまは相変わらずのようね」
 秘書「はっ!これはこれはシスター様・・・・」
 秘書が振り返ると、シスタージャビットが立っていました。
 シスタージャビ「ミスターも選挙が近いからか有権者の子供には愛想を振りまいているわね。偽りとはいえ愛嬌を振りまかせたらなかなかあいつの右に出るヤツはいないわ」
 秘書「はっ、ミスタージャビ様の最大の武器かと・・・」
 シスタージャビ「ふふふ・・・まあ勝手にそう思っておくといいわ。いずれこのヨミウリ市は私のものになるのだから」
 秘書「シスタージャビ様!なんということを・・・・!」
 シスタージャビ「あいつも私だけは仲間と思っているようだけど、大きな間違いだわ。あいつもしょせんは甘チャンね。明日飲むお茶にトリカブトが入ってないとは限らないのよ。フフフフ・・・・あなたもそろそろ私に付くか、お人好しの独裁者気取りに決めた方が良いわ。」
 秘書「いやあの・・・私はヨミウリ市に忠誠を誓っているのであって、おふたりどっちに付くかなんてとてもとても・・・」
 シスタージャビ「ふふ、あなたは善人すぎるわね。でもこのヨミウリ市なんて町すべてが偽りの世界よ。そんなきれい事は言わない方が良いわ」
 そういうシスタージャビットの傍らに、園児がやってきました。
 シスタージャビ「はぁ〜い♪みんな元気にしてた?みんなのお友達シスタージャビットよ!さあ、何して遊ぼうか!」と園児の中に入っていきました。
 このシスタージャビの様子を見た秘書はさすがに愕然とし、ついていけないと辞表を出して逐電したのでした。
第11話 2002/1/27
 一方、こちらはみんなから名指しでボロカスに言われているジャビットのいるヨミウリ市です。
 ジャビット「これ、秘書。最近の我が市の状況はどうなっているか。」
 秘書「はっ。新任の市長がどうもパッとしないようで・・・話題はハンシン村の新村長が独占しています。」
 ジャビット「ふん、前の市長はやかましいくらい目立ってたし基本的にはバカだったから、せっかくクビをすげ替えて昇格させてやったのに・・・・まあいい。ダメなら途中ででもクビを切ってやるさ。ところでハンシン村の村長は気にしなくていい。あそこはこの時期だけ騒がれるからな。要は商戦時期に入ったらどれだけ目立つかだ」
 秘書「今年はあまりカネも使いませんでしたし、我が市には話題がありません」
 ジャビット「まあそれでいい。前の市長はコスト意識のない浪費家だったからな。これからは必要なときに必要なだけカネを使えばいい。パシフィック島のどこかの村みたいに、『ケチは美徳』なんてチャンチャラくだらんな。ハハハハハハ」
 秘書「なるほど、セントラル島ではヒロシマ村とか・・・」
 ジャビット「違う違う、あそこはケチなんじゃない。ただの貧乏だ。ケチと貧乏は違うぞ。せめてその辺はわかってやらないとヒロシマ村が惨めだ。ハッハッハッハ」
 秘書「そのヒロシマ村のスライリーが、最近セントラル島内をウロウロして不穏な動きをしていますが・・・・」
 ジャビット「ふん、貧乏人が何をしようとどうと言うことはない。世の中は所詮カネ。貧乏人はこの世に生きる資格はないのだ。聞けばチュウニチ村のシャオロンはエビフライを揚げて内職しているというし、ハンシン村のトラッキーも過労で倒れてるそうじゃないか。カネこそすべてだ!カネをかけて何事も豪華にし、富める者は富み貧しき者は飢える。資本主義の原則じゃないか。」
 秘書「しかし若、そのような我が市のやり方に反発が高まっているのもまた事実です」
 ジャビット「キミ、それでもヨミウリ市に観光客や買い物客がいっぱい来るのはなぜだ?一流の役者と物資を買い集め他とは違う豪華さを出しているからじゃないか。大衆はしょせん愚かだ。何とでも大衆はだませるのだよ。そう、強いて言えば大衆はブタなのだ」
 秘書「わ、若。お言葉を慎みあそばせ・・・」
 ジャビット「どうしてだね?父上なんかいつも言いたい放題言ってるじゃないか。ふん、まあいい。我々はその愚かな愚民を喜ばせていればいいのだ。カネがあるからこそ前の無能な市長でもそれなりの成績を上げているのだ。あいつにあのヒロシマ村で村長をやらせてみたまえ。ヒロシマ村は崩壊だよ。ハハハハハ」
 秘書「そ、それはそうと10時からヨミウリ市立幼稚園の園児の表敬訪問を受けることになっていますが・・・」
 ジャビット「ふん、愚民であるブタの子供どもに媚びを売らねばならぬか。まあいい、愚民の前では私は『いい人』にならねばならぬからな。ブタの子供どもはどこに通した。
 秘書「はっ、前の広場に通しております。」
 ジャビット「ふん、そうか。では行ってやることにしよう」
 広場に足を運んだジャビットは、子供たちを見るなり
 「はぁ〜い♪おはよ〜う!!みんなのお友達ジャビットだよ♪みんな元気にしてたかなぁ〜!」と笑顔いっぱいに子供たちの輪の中に入っていきました。
 秘書は、なんだかんだ言ってもこの方はただ者ではないと身震いがしたのでした。
第10話 2002/1/23
 マーくんがハム村にさしかかると、ファイティーがハムを一生懸命に作っていました。
 マーくん「何してるの?ファイティーくん」
 ファイティー「やあマーくん!見ての通りハムを大量に作っているんだ。ライバル会社がウソをついてお金をだまし取ろうとして今警察に追われているから、この隙にウチのハムを売り込むんだ。」
 マーくんはハリーにしろファイティーにしろ、家のお手伝いを一生懸命にしているのを見て少し恥ずかしくなりました。
 マーくん「みんな偉いなあ。家の手伝いを一生懸命にして・・・」
 ファイティー「僕だって遊びたいよ。でも、噂ではセントラル島のホッシーは缶詰会社やってるお父さんが逃げ出しちゃったらしいんだ。それがまたその後にホッシーのまま父でやってきたのがテレビ局で、これがまたチャラチャラしてるから、ホッシーは気分を切り替えるのが大変みたいだよ。」
 マーくん「そうか・・・そういえば村にサラ金会社がやってきたら大変だもんね」
 ファイティー「そうそう、特にあの意味もなく女の人が踊りまくるCM流してる会社が入ってきたら大変だよ。そのためには家の仕事を手伝って儲けないと・・・」
 マーくんは自由気ままに諸国行脚している自分が少し恥ずかしくなりましたが、残っているリーンちゃんとズーちゃんがなんとかしてくれるだろうとそのままのんきな旅を続けることにしました。 
 

第9話 2002/1/19
 諸国行脚を続けているスライリーでしたが、ある日ふと気がつくと服がずいぶん傷んでいることに気がつきました。
 スライリー「なんぼ旅の最中たぁいえこれじゃぁみすぼらしいなあ。思い切って服を買い換えようかのぉ」
 スライリーは洋服屋さんに入りました。
 店員「お客さんはぼってりとした体つきなので、縦ジマが入った服の方が痩せて見えて良いですよ」
 スライリー「うーん、縦ジマの入った服はしばらく買うた記憶がないけんなあ。できたら普通のやつが・・・」
 店員「お客さん、世の中は変わらないといけないんです。昔からの価値観を引きずっても進歩はありません。改革には痛みが伴わないといけないのです。」
 スライリー「いや、別に服くらいで改革も何も・・・」
 店員「これからは縦ジマの時代です!縦ジマが世のトレンディを独占して、新世紀は縦ジマの時代と呼ばれる日がきっと来ます。」
 スライリー「おねえさん、言うことがいちいち大げさじゃのお。わかったわ。思い切って縦ジマにチャレンジしてみるけん」
 店員「そうですそうです。太ってる方には縦ジマが一番・・・」と言いながら、店員は黒い縦ジマの服を出してきました。
 スライリー「ああ、あかんあかん!ウチは家訓で服の色は何でも赤を使う事ってゆぅ掟があるんでの」
 店員「そうですか、では特別に赤の縦ジマを・・・」スライリーは赤の縦ジマの服に着替えて店を出ていきました。 
 スライリーは旅の疲れもあるのか、その店員がバイトに来ていたラッキーだったということに最後まで気がつきませんでした。
第8話 2002/1/16
 一方、マーくんがロッテ村を旅立つと、向こうの方からふらふらとダイエー村のハリーホークが歩いてきました。
 マーくん「やあ!ハリー君久しぶり!元気だった?」
 ハリー「よお、マーじゃなかとか。元気そうにしとーっちゃん・・」
 ハリーはひどく顔色が悪いです。
 マーくん「どうしたの、ハリー君?ひどくやつれてるじゃん」
 ハリー「親父の会社がつぶれそうばってん、色々お願いに回ってるたい。なんでもあまりに親父の会社の経営が苦しいんで、下手すれば俺は養子に出されるかもしれないっちゃよ」
 マーくん「ええっ!それって大変なんじゃ・・・」
 ハリー「7〜8年ほど前まではオヤジの会社も景気が良くて、欲しいものはなんでも買ってくれたとよ。それが今じゃ毎日のように借金取りが来て、何でもかんでも売らされてしまって・・・いままでオヤジにはスネばっかかじらせてもらっとったから、何とか俺は頑張って去年は親父に初めて生活費を入れたっちゃ。でも、借金取りは許してくれんと毎日取り立てに来よる。オヤジがかわいそうたい・・」
 マーくんは思わずもらい泣きしてしまいました。
 マーくん「ハリー君、何か僕にできることは・・・」
 ハリー「そうっちゃねえ・・・。もしオヤジの会社がつぶれても、オヤジの会社と商売してくれるようお前の親父に頼んでくれんと?さっきファイティーにも今まで通りハムを売ってくれるよう頼んできたばい。」
 ・・・・・『いいか、マー。ハリーの家にだけは気をつけろ。あの家は私の会社のガムとかハム村の詰め肉、ヨコハマ村の缶詰とかを安く買いたたき、文句を言おうものならすぐに取引中止をちらつかせる私たち製造業の敵なんだ。ハリーには油断するな・・・・』・・・・マーくんは、以前お父さんから言われた言葉を思い出していました。そういえば、以前のハリーはパシフィック島では一番傲慢で自己チューでしたが、それに比べて、今のハリーのなんと弱々しいこと・・・マーくんは痛惜の念を禁じ得ませんでした。
 マーくん「わかったよ。お父さんに頼んでみるよ」
 ハリー「おお!頼んでくれるっとか!ありがとう!ありがとう」とハリーはマーくんの手を握りしめ礼を言いました。
 マーくんは、前に学校で習った「奢れるものは久しからず」というのはこういうことかと気がつき、またひとつかしこくなりました。
  
第7話
 トラッキー邸をなんとか逃げ出したスライリーは、次にチュウニチ村のシャオロンを訪ねに行きました。
 シャオロンとはヒロシマ村とチュウニチ村の村長さん同士が仲が良かったので仲が良いのです。
 シャオロンを訪ねてみると、シャオロンは山のようにエビフライを揚げていました。
 スライリー「何しとんじゃ?シャオロン?」
 シャオロン「おお、スライリーやないか!見ての通り内職だぎゃあ。去年はヨコハマ村から高い買い物したし、その前の年はヤクルト村から対ジャビット用の新兵器を買ったはいいがこれがさっぱり役に立たんでのお。そのくせ維持費だけは去年の倍じゃ。アホらしいてやっとれんなあ。」
 スライリー「それでそのエビフライを揚げとるんか?」
 シャオロン「そーそ。ウチの村の地場産業のラーメン屋のスガ○ヤ用のエビフリャーを大量に揚げて納品しとるんだぎゃあ」
 スライリー「そんなことせんでも、おまえの村はまだ金持ちやないか」
 シャオロン「何いうとんじゃ。ヨミウリ町のジャビットを壊滅させるにはなんぼあってもカネがたらん。そのためには多少無理をしてもカネを貯めなあかんのだぎゃあ。ウチも仲間のドアラはバック転で曲芸団にバイトに行ってるんや。」
 スライリー「え、曲芸団?」
 シャオロン「そうだぎゃあ。しかもパオロンはカルチャーセンターで『短足でもできるリボンダンス講座』の講師をしとる。スライリー、おみゃーも内職をせえ内職を!俺がフライの揚げ方くらいは教えてやる。そうそう、おみゃーのところならカキフリャーを揚げてみたらどないや」
 スライリーはここでもつかまってしまい、体よくシャオロンのエビフライ揚げを手伝わされるのでした。
第6話
 トラッキー「だいたいスライリー!ワレがあかん!ワレがもっとしっかりせんから、ジャビットのアホンダラにでかい顔をされるんやないか!!」
 スライリー「は、いや・・・そのへんはワシの不徳の致すところ・・・」
 トラッキー「なにが不徳の致すところじゃ!ドアホ!ええか、ジャビだけにはでかい顔をされたらあかんのや・・・・え?わかっとるんか!え?コラ?スライリー!」
 トラッキーは一升ビンを抱えて完全に酒乱になってしまい、普段出てこない河内弁まで出てきました。
 トラッキー「ワシはなあ・・・なんぼハンシン村がボロボロになっても、ワシとラッキーだけは一生懸命頑張ったんやでぇ・・・そのあげくが4年連続年商ドベや。ワシらが歌って踊ってもあかんのや・・・サ○イ引越センター以下や!ドアホ!さあスライリー!飲め!食え!」
 いつの間にか、ラッキーが焼いてくれたカンサイ風のお好み焼きが山盛りに積まれてました。
 スライリー「い、いや、ワシはヒロシマ村風のお好み焼きでないと食べられん・・・」
 トラッキー「なにぃ!カンサイ風味のお好み焼きが食えんとはワシがゆるさん!食わんと返さん!!」
 と、スライリーは無理矢理お好み焼きを全部食わされました。
 結局スライリーは酒乱トラッキーに幽閉され、悪夢の一夜を過ごしたのでした。
第5話
 トラッキー「そもそもは今から17年前に天下を取ったのがつまづきのはじめやった・・・」
 スライリー「あー、あのころはウチも景気良かったわー。なんせ無欠勤の世界記録もっとるおっさんが働らいとってなあ。ウチみたいな片田舎でも話題には困らんかったんよ。」
 トラッキー「そや。あのときの話は今でも伝説や。鳥肉屋のおっさんがタキシード姿で川に投げ込まれたり無茶苦茶やった。あのころからどっか歯車がおかしくなったなあ」
 スライリー「でもお前のところは客だけはようさん来てくれるやないか」
 トラッキー「それももう期待できん。せっかく長い間育ててきたシンジョーブランドがメジャー大陸に渡ってしまったんや。それも結構ウケとるらしい。絶対流行らんから1年で帰ってくると思ったのに・・・」
 スライリー「月見草栽培も失敗したのー」
 トラッキー「おま・・・、おまえ、その名前は出してくれるな・・・。月見草栽培に俺は6億円以上払ったんやで。わざわざ「月見草の教え」って本まで出したんや。それが見てみい!3年連続年商はドベ。最初の頃は月見草が珍しいって客も来てくれたけど、最後の方は逆にブーイングが飛んどった。なんでも3年前に作った純金の月見草の返品が後をたたんらしい・・・くそーっ!あの月見草め!ワシを食い物にしょってからに・・・覚えてけつかれ!お前の嫁は一生塀の中や!ざまあみぃ!ハハハハハ!」
 ふとトラッキーの脇を見ると酒の一升ビンが転がっていました。スライリーはあまりのトラッキーの荒れぶりに内心ヤバいと思ってましたが、クダをまくトラッキーを前に逃げ出すこともできず、冷や汗をかきながらハンシン百貨店名物の洋食焼きをほおばっているのでした。
第4話
 スライリーはとりあえず、一番近くに住んでいるハンシン村のトラッキーを訪ねてゆきました。
 スライリー「いよぅ!トラッキー!元気か!」
 トラッキー「誰や・・・人が病気で寝てるのに大きな声で入ってくる奴は・・・なんや、スライリーやないか。ゲホゴホ!」
 トラッキーは病気で寝込んでいました。
 スライリー「なんや、おまえどうしたんじゃ!カゼか?」
 トラッキー「いや、カゼなんかと違う。もうあかんのや。ここ4年ほどずーっと病気がちでなあ。体力を消耗するばっかりなんや。ゲホゴホゲホ!」
 スライリー「そりゃお前のところは稼いでも稼いでもよそに持っていかれるからのぉ〜。他人事ながら見てて気の毒や」
 トラッキー「そうや。せめて旅人には喜んでもらおうと病身にむち打ってバック転なんかやってるんやが、かんじんの売り上げがボロボロや。去年はパシフィック島のバフィーが「史上最大の花火大会」でいてまいよってぎょうさん客を持っていきやがって・・・。もうあかん、いよいよジリ貧や。俺一人ががんばってもハンシン村は・・・・ゲホゴホゲホ!ゴボボ!グベボ!ひでぶ!」
 ラッキー「まーま、トラッキー。今日はしゃべりすぎよ。さあ、お薬持ってきてあげたよ」
 トラッキーはラッキーから薬を飲んで落ち着きました。
 トラッキー「まあスライリー。せっかく来たんやから今日は俺のグチを聞いとくれ。おーいラッキー。スライリーにハンシン百貨店名物野菜焼と洋食焼を出してやってくれ」
 スライリーは内心、しまった!エラいときに来た!と後悔したのでした。
第3話
 一方、パシフィック島のロッテ村にはマーくんが住んでいました。マーくんの住むロッテ村はお金はあって裕福なのですが、長い間訪れる人も少なく寂れていました。ところが最近、タオルを回して幸福を願う新興宗教が発足し、熱狂的な信者が訪れて村もかなりにぎやかになってきました。
 マーくん「訪ねてくる旅人も増えてるのに、ずーっとセイブ町のレオやダイエー村のハリーにやられっぱなしだからなあ・・・去年は絶対に勝ってやると思ってたら、親友のバフィーに出し抜かれてしまった・・・・。このままじゃダメだ!ボクもがんばらないと」
 心に誓うマーくんですが、元来お坊ちゃん育ちのマーくんにはハングリー精神が欠けているのかここぞというときに踏ん張りがききません。
 マーくん「よしっ!春まで諸国行脚で修行して心身を鍛え直すんだ!」
 リーンちゃんとズーちゃんに置き手紙をしたマーくんは旅支度を整えロッテ村を後にしました。決死の修行の旅のはずですが、懐にはお父さんからもらったゴールドカードが入ってるあたりはやはりお坊ちゃんでした。  
第2話
 ヒロシマ村は、セントラル島でもどっちかというと辺境の地にあります。長い間車を売ってもうけてましたが、最近はそれもあんまり売れず、景気はあんまりいいことはありません。
 スライリー「最近はほんとに景気が悪いのー。もみじ型の饅頭も最近あんまり売れないし、このままじゃジリ貧や」
 スライリーはエトウというブタを飼ってましたが、さあ太ってこれからと言うときに、ヨミウリ市のジャビットに無理矢理買いたたかれ、またそのエトウブタが意外と美味しいという噂が聞こえ悔しくてなりません。
スライリー「あのブタは太るだけ太って美味しくないから・・・と思ってたけど、あそこまで美味しかったらシャクやのおー。まあ、ボヤいても仕方がない。商売が始まる春先までは諸国行脚してほかの連中の様子を探ってみようかの」
 と、スライリーは旅支度を始めるのでした。 
第1話
 とある大海の中に、セントラル島とパシフィック島という2つの島が並んでいます。
 この島には、それぞれの島に6つずつの町と村があり、それぞれが独自に産業を興して生計を立てています。2つの島の間には狭い遠浅の海峡があり、普段は船でしか行き来できないのですが、毎年春先と秋、そして七夕の日だけはなぜか潮が引き、2つの島がつながって自由に行き来できるようになります。特に秋の交流は、パシフィック島とセントラル島の代表が戦って、買った方がその年の年貢を独占できるという重要なものです。
 長い間、セントラル島の方が栄え、パシフィック島は寂れていましたが、最近はセントラル島は景気が悪化しており、逆にパシフィック島は巨額の金を公共投資につぎ込みながらも、少しずつ栄えてきました。
 この物語は、セントラル島ヒロシマ村のスライリー、パシフィック島ロッテ村のマーくんの天下統一の野望の物語です。

          


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